ペアリングワイン

初めてでもカンタン♪ワインペアリングで料理の世界が広がります!

レストランで美味しそうなお料理を前にしたら、ぴったり合うワインを選びたいですよね。

でもリストを見ながらどれにしようか迷ってしまうことはありませんか?

ご自宅でよくワインを楽しまれる方なら、今夜の献立にどんなボトルを開けようかと悩まれることもあるでしょう。

今回はそんなワインペアリングがカンタンに出来てしまうアイデアをご紹介します。

正解なんてない!ワインペアリング

よく耳にするワインペアリングの知識が「赤ワインにはお肉、白ワインにはお魚」ですね。

こうした一般的なアイデアは、迷いがちなワインペアリングを分かり易くしてくれますが、絶対に正解とは言い切れません。型にはまった知識にこだわることは選択肢の幅を狭くしワインの可能性を小さくしてしまいます。

膨大なワインペアリングの選択肢がある中で、方向性の一つを決めるためにそうした知識を参考にするのが良いでしょう。ワインペアリングはもっとシンプルで楽しくしたいものですね。

1930年代に発表され、現在も多くのシェフやソムリエが愛読する「ラルース料理大事典」には、ある料理のペアリングにラフィットやエルミタージュなどの赤を勧めながらも「ゲストが望むなら」、ボルドーブランやソーテルヌを、と書かれており、しっかりとした赤ワインを推しながらも甘口の白にまで言及しています。

この型にはまらない発想やゲストの気分のままにといった遊び心を今日も忘れないで欲しいものです。

シンプルなペアリングの原理「和」・「補完」

では、何にも気にせずワインと食事を楽しむことが良いという訳ではありません。

ワインはビールや日本酒に比べ多くのアロマ(香り)を持つ飲料なので、その特徴を分かった上でペアリングを行う方が良いでしょう。

一番シンプルな考え方は、ワインと食事の香りや味の「和」と「補完」です。

食事とワインはそれぞれ豊かな個性を持っているので、お互いが和となり、欠点や足りないものを補い合えば、自ずとそれぞれの良さを発揮して素晴らしいワインペアリングが出来上がります。

簡単にいうと、ワインは料理に加える調味料という見方も良いかもしれません。

まず「和」とは、料理とワインを同調させることを意味します。料理の特性とワインの特性を合わせるということです。

例えばアロマ(香り)で言えば、ジビエ(狩猟料理)を彷彿させる品種特性を持つシラーには鴨やイノシシのような肉に個性のある料理を合わせるとよく合います。

パレート(味わい)で言えば、酸味のある料理には酸味の高いワイン、甘みのある料理には甘さを感じるワインという様に味覚を合わせるとマッチします。

色(外観)で言えば、濃い色の料理は濃い赤ワイン、サーモンやエビのような淡いピンク色にはロゼ、というのもマッチしやすいのでお試しください。

そして「補完」とはお互いの良いところを加え合ったり、お互いの足りないものや欠点を補い合いその味わいを完成させることです。

例えば塩焼きとりや魚の塩焼きには酸味の効いた白ワインが合います。ワインの酸を風味に加えることで肉や魚の持つ臭みや油のくどさが抑えられ爽やかな味わいに仕上がります。焼き物にレモンをかける作用と似ていますね。

また、トマトソースにベリー感を持つ若いワインを合わせるとフレッシュな野菜と果物のハーモニーとなってより豊かな味わいになるのです。

このお互いの風味を加え合うというのはワインが得意とするもので、料理の引き立て役に徹することの多いその他のお酒にはあまり無い素晴らしい特徴ですね。

味覚のバランス

ワインをテイスティングするときに、酸味、甘み、タンニンや複雑さ等のバランスを感じ取って評価していますよね。

食事とのペアリングもこれに似ています。

ワインと一緒に食べることで何かの味覚が主張しすぎたり、逆に足りなすぎたり、味覚がバッティングして不協和音を出したらバランスの悪い、つまり良いワインペアリングにはなりません。

そこで先ほど述べた「和」と「補完」ができるペアリングで全体のバランスを取っていくことが大切になってきます。

以下に基本的な食べ物によるワインへの味覚の作用をご紹介しましょう。

塩味のある食べ物

塩味のある食べ物は、ワインの苦みや酸味、渋みを和らげ、まろやかなコクや滑らかさを出してくれます。

また、塩味の強いものにはハムや燻製など旨味の多いものが多く、この旨味はワインの苦みや酸味を際立たせてしまうことがあります。

その場合はレモン等の柑橘果汁を取り入れてバランスを保つことができます。

酸味のある食べ物

酸味のある食べ物は、ワインのコクや甘味、果実感を高め、ワインの酸味を和らげてくれます。

冷涼な地域の酸の高いワインでも酸味のある食べ物と飲むことで酸の高さが気にならなくなります。

注意が必要なのは、酸の優しいワインと酸味のある食べ物を合わせるとワインの酸が感じにくくなり、ぼんやりした味わいになります。食べ物より少し酸の高いワインと合わせるのがオススメです。

甘味のある食べ物

甘味のある食べ物は、ワインの苦みや酸味、渋みを強め、コクや甘味、果実感を弱めます。同じ様に甘さを感じるワインと合わせるとバランスが取れます。

アジア料理には甘さのある料理が多く、ドライなワインを合わせると妙に酸っぱく感じることがありますので、ワインも少し残糖のあるものを選ぶとマッチしやすいのです。

甘いデザートとワインを合わせる時は、そのデザートよりも甘いワインを合わせることで美味しく楽しむ事ができます。

今回ご紹介したものは一例で、何を和として合わせるのか、何を補完したいかはあなたの好みで良いのです。

ゲストにどんな風に楽しんで欲しいかを思い、あなただけのペアリングをデザインしてみてください。

経験を積んでいても失敗することがある一方で、思いがけない素晴らしいペアリングに出会うこともあり、それはワインペアリングを楽しむ醍醐味です。

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平山 智予

日本ソムリエ協会ワインエキスパート、日本ドイツワイン協会連合会ドイツワインケナー、英国WSET LEVEL3 Award in Wine、ワイン検定ブロンズ&シルバー講師
オーストラリア大使館主催イベントの公式ワイナリーサポートや、恵比寿のミシュラン・ピグブルマンでのソムリエール経験のほか、クリエーターとして日本ワイナリーを撮影し大丸東京にてVRドームスクリーン展示を行う。
特にカリフォルニアワインを愛し、毎年現地に赴いてワイナリーの方々とワイン談義をするのを楽しみにしています。 平山 智予の記事一覧 

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