ペアリングワイン

贈り物や自分へのプレゼントに本当にお勧めのソムリエナイフ

本当に良いソムリエナイフとは?

『一流のソムリエは某ブランド○○○○のソムリエナイフを持つ。』そう刷り込まれていた私は、そのソムリエナイフを始め、憧れから同じくフランスにおけるソムリエナイフ2大巨頭ブランドのソムリエナイフなどを使っていました。

これらのソムリエナイフは、刃の切れ味が良くて、刃がワインの瓶のカーブにフィットする形状をしているため切りやすく、スクリューと呼ばれるネジネジの部分が長く、スクリューに溝が入っていて少しコツのいるヴィンテージワインなどの抜栓も楽に行うことができます。

見た目も美しくて限定モデルがあったり、憧れを集める世界最優秀ソムリエがデザインをしたりと世界中で人気があり、様々なタイプを収集されている方も多くいます。

ただ、手が小さい人が多い日本人には大き過ぎて使いにくかったり、使い始めがすごく硬くて使うのに苦労するくらい力を要します。その分、手に馴染んでスムーズに動くようになると嬉しいものですが、そうなるまでが少々使い勝手が悪く、たまにしかワインを飲まない方はずっと硬いままだったりします。

壊れる際には、スクリューの付け根や栓抜きを使用していた場合は栓抜きの付け根からカパカパとゆるく動くようになって使えなくなるパターンが多いです。こうなった時にフランスの工場へ修理に出しても約8ヶ月〜10ヶ月状況によってそれ以上なかなか返ってきませんし、保証書が必要で、フランスへの往復の送料と修理代もかかります。修理して使うのも良いと思いますが、新しいソムリエナイフを購入する方が多いかと思います。

様々な理由から、他に何か良いソムリエナイフは無いのかと色々と使ってみることにしました。沢山のソムリエナイフがある中で、今回は私が使った中で最も切れ味が良くて使いやすく、修理も早い日本産の日本が誇るソムリエナイフをご紹介したいと思います。

ATHRO

岐阜県関市でアウトドアナイフの製造をしてきた豊和刃物製作所がそのノウハウを活かして創り上げたブランド『ATHROアスロ』。人間工学を極めたデザインで使いやすく、各パーツは硬すぎないよう配慮して締められているので動作がスムーズに行えます。

豊和刃物製作所がある関市は、800年の歴史を誇るある刃物の町として知られています。鎌倉時代に戦乱を逃れてきた刀匠元重が移り住んだことから始まりました。

刀作りに必要な良質の土、松炭、長良川と津保川の水があったことから、各地の刀匠が関市に集まり、室町時代には刀鍛冶で栄え、戦国動乱の世で切れ味が良くて頑丈な美濃刀の需要が高まり、隆盛期を迎えました。そして、現在でも関市は包丁等の家庭用刃物の全国シェア1位を誇ります。

▶︎KANETUNE兼常

関七流という流派の一つ奈良派の兼常の名を冠したソムリエナイフです。手に馴染みやすい大きさで、触り心地の良い質感、切れ味の良い波刃、ホルダー部分には刀匠の鍛冶場と歌舞伎の隈取りをイメージした関兼常のロゴがエッチングされていて和の趣きが感じられます。

材質はステンレス鋼で、ハンドルの黒い部分はブラックリネンマイカルタから出来ているので耐久性があり、更にこちらは栓抜きを廃したモデルなので、より長持ちします。使い始めからスムーズに動作するようになるまでが早く、力もそこまで要しないので女性にも扱いやすいソムリエナイフだと思います。

そして、なんと言っても秀逸な切れ味!フランスのソムリエは日本ほど道具にこだわりが無く、使えればいいというスタンスの人が多く、高級レストランへ行ってもダブルアクションのソムリエナイフで抜栓している光景をよくみます。以前そんな同僚のソムリエにこのソムリエナイフを貸したところ切れ味の良さに感動してどこで買えるのか興奮気味に聞かれました。使ってみるとその良さから手放せなくなりますよ。

▶︎DAMASCASダマスカスバールウッド

ダマスカスシリーズは、その名の通りダマスカス鋼の美しい木目状の模様を特徴とする鋼を使用していて、見た目にも美しく切れ味も抜群で高級感もあり、贈り物にもお勧めです。

ダマスカス鋼は、古代インドで造られていた銅材で、中東シリアの剣にも使用され、『もし絹のネッカチーフが刃の上に落ちると自分の重みで真っ二つになり、鉄の鎧を切っても刃こぼれせす、柳の枝のようにしなやかで曲げても折れず、手を放せば軽い音とともに真っ直ぐになる。』とその優秀さが古くから知られていました。

こちらはバールウッドという木の根元にできる通常の組織とは異なる瘤の希少な部分をボディに使用していて、その神秘的な模様にも魅了されます。

▶︎DAMASCASダマスカス黒壇

こちらは、ブレード銅材に黒壇のボディ。ダマスカスシリーズは刃の部分にサムスタッドが取り付けられているので、親指一本で楽に刃を引き出すことができるのも特徴の一つです。慣れるまで大変だという方もいますが、使い勝手はよく、よりスピーディーに美しく扱うことができます。

今回はATHROのソムリエナイフを紹介させていただきました。その人気から製造が間に合わず品薄で、店舗でもあまり見かけませんが、インターネットから購入ができます。

自分用にも贈り物にも日本が誇るソムリエナイフを是非手に取ってみてくださいね。良い道具はあなたのワインライフをより充実させてくれます。

《関連記事》
ワインのプレゼントは気持ちも一緒に届けよう!
プレゼントにおすすめ!花を贈るよりこのシャンパーニュがおすすめ!
女性へのプレゼントにおすすめ!エチケットがユニークなビオワイン
男性へのプレゼントにおすすめ!エチケットがユニークなビオワイン

Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

新着口コミ

もっと見る

ワインペアリングを楽しめるお店、レストランを探す

都道府県から探す