ペアリングワイン

世界最小のパスタ?!クスクスとワインのペアリング

万能食材クスクスをご存知ですか?

お米が主食の日本ではあまり馴染みがないという方も多いかもしれませんが、今回は万能食材のクスクスにフォーカスしたいと思います。

クスクスとは、デュラム小麦などと水を原料に、捏ねて網でこす作業を何度も重ねて作られた粒状のパスタのことです。小麦の他にも大麦、トウモロコシ粉、ドングリ粉、粟粉を用いたものなど様々あります。そして、クスクスを用いた料理の総称としても使われます。

『世界一小さなパスタ』と謳われていますが、実はクスクスは中粒の種類なので、より小粒の『ムハムサ』が世界一小さなパスタということになります。ちなみに大粒もあって、こちらは『ベルココース』という種類です。

北アフリカ発祥で中東地域、フランスやイタリアなどヨーロッパ諸国、ブラジルなど幅広い国と地域で食べられています。起源ははっきりとしていませんが、文献で確認できるのが13世紀半ばに発行された『キターバル・タービクヒアル・マグリブワル・アンダルス』というアラビア語の料理本にクスクスの元となったレシピが掲載されています。

世界への広がり方などをみて、10世紀〜13世紀の間に生まれたのではないかと言われています。クスクスの語源はアラブ語で『一番良い食べ物』や『食事』を意味していて、日本人にとってのお米のように、主食としてなくてはならないものであることが分かります。

クスクスは100gあたり約112kcalで、炊いたご飯は100gあたり約160kcalなので少しカロリー控えめです。カロリー控えめな上に白米の7倍の食物繊維に、ビタミンB1、B2、マグネシウムなど栄養豊富な食材で、食べた後にお腹が膨れて満腹感も得られることからお肉や野菜や豆類などと上手に組み合わせて低カロリーながら栄養満点のダイエット食としても活躍します。

スープに入れても良いですし、サラダに使ったり、お肉やお魚にソースをたっぷりかけてクスクスを添えてみてください。野菜、魚介、肉もばっちり何でも合いますよ。そして、クスクスは既に加熱処理されているのでパスタと違って茹でる必要がありません。時短調理が可能なので、忙しい現代人には嬉しいですね。

【簡略的な作り方】
ボウルにクスクスを入れて塩、胡椒、オリーブオイルを加えて和えます。そして、熱湯を注いでラップを被せて約10分蒸らし、お湯を切ってバターを適量加えて混ぜれば完成です。※下味をつけることが美味しくいただくポイントですので、是非お試しください。

現地ではケスカスというクスクス用鍋を用いて作られます。鍋は二段に重なった形状をしていて、下の段ではたっぷりの野菜やお肉、スパイスを使ったシチューを加熱し、上の段ではその蒸気でクスクスを蒸らして調理します。これは日本の蒸し器でも代用が出来るので、更に美味しく作りたい場合にはこちらの蒸し方がおすすめです。

クスクスはお値段も手頃ですし、異国情緒を感じるちょっとした気分転換にもオススメです。そして、ワイン好きの皆様にはクスクス料理とワインのペアリングを是非お楽しみいただきたく思います。私のオススメは、クスクスが主食のチュニジアのワインです。

クスクスと相性抜群!チュニジアワイン

地中海沿岸の北アフリカに位置するチュニジア。ワイン造りの歴史は古く紀元前3000年に遡ります。海上貿易が盛んだったカルタゴは、紀元前5世紀には地中海沿岸の諸国にワインを輸出していて、当時のローマ人達はビュルサの丘のワインを好んだそうです。

その後、ローマ帝国やアラブ人による支配を受けてもブドウ栽培は廃れることなく引き継がれ、19世紀後半にフランスの植民地となったことでワイン文化が発展し、ムールヴェードルやグルナッシュなどの南仏品種のブドウ樹が植樹されました。

独立後もワイン生産は続きましたが、知識や技術をもつ人材の不足や資金面の問題などから減少し、1990年代後半以降からヨーロッパの企業などからの資金等の支援を受けて再び勢いを取り戻しています。ワイン法もフランスの影響からAOC制度が導入され、チュニジア全国葡萄局によって、品質管理が行われています。

チュニジアワインといえば、カリニャンとシラーを使った『マゴン』が最も有名で、チュニジアを代表するワインと言っても過言ではありません。

マゴンとは、紀元前8世紀カルタゴの時代に活躍したこの地を代表する農学者に因んでいます。マゴンが著した『マゴンの農業書』によって、ブドウ栽培やワイン醸造の技術がローマへ伝わったと言われています。

マゴン・ルージュは、地中海気候の燦々と降り注ぐ太陽を感じさせる豊かな果実味とスパイスの風味があり、スパイシーな伝統的クスクス料理ととても相性が良いです。

▶︎マゴン・ルージュ

ドライイチジク、チェリー、黒胡椒やスパイス、ほんのりとスモーキーでなめし革や腐葉土などの落ち着いた風味のワイン。甘いワインという印象を持っている方も多いですが、こちらのマゴン・ルージュは辛口のミディアムボディです。お値段もお手頃で、肩肘張らない日常の食事であるクスクスにはぴったりのワインです。

* 原産国:チュニジア
* 産地:マゴン
* 品種:カリニャン、シラー
* 生産者:チュニジアワイン醸造中央連盟
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

▶︎チュニジアの陶器

チュニジアの陶器は素朴でぽってりとした型が特徴です。この陶器はぽってりした型に加えてカラフルな色合いでとてもハッピーな気持ちになります。まるでチュニジアにいるかのような気分でマゴン・ルージュを楽しんでみてくださいね。

おすすめのお取り寄せフード

ご自宅でクスクス料理をするのにおすすめの食材を紹介させていただきます。使うことで簡単に本格的な味わいになるので、是非活用してみてくださいね。

▶︎クスクス

アルバディアのクスクスは、色々と試した中でも風味が豊かで一番のお気に入りです。中々手に入るお店が少ないので、ネットで買うと便利です。

▶︎ハリッサ

ハリッサとは、クスクスなどチュニジア料理には欠かせない調味料です。唐辛子、ニンニク、キャラウェイ、コリアンダー、塩を合わせて練り上げているので、辛いだけではなく豊かなコクを感じさせます。こちらは70gのチューブなので、酸化によって風味を落としたり、冷蔵庫で邪魔になる心配もありません。

クスクスとワインのペアリングをお楽しみいただけると幸いです。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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