意外!?カツオのたたきに合う赤ワイン
春の初ガツオでも、秋の戻りガツオでも、玉ねぎや大葉、ミョウガなどの薬味をたっぷりと乗せ、さっぱりとポン酢で味わいたいカツオのたたき。
高知県の名物料理なので、その地域の日本酒と合わせると相性バッチリなのは間違いありませんが、負けじとワインでも好相性のものがあります。
魚料理と白ワインを合わせるのが王道なので、もちろん白ワインと合わせる選択肢も間違いありませんが、実はより引き立つペアリングは赤ワインやロゼワイン。
とはいえ、どのようなワインでもカツオのたたきに合う訳ではなく、バッチリと合致するペアリングがあります。ここではその組み合わせを探ってゆきましょう。
カツオのたたきに合うワインの条件
カツオのたたきの調理法は、
・カツオの身を藁焼きにして風味をつける
・刺身よりも厚めに切る
・薬味を乗せ、味わいにアクセントを加える
・ポン酢をかける
と大きく4つに分かれます。
ペアリングの原則からして、ワインを味わうことで口中で食材とも相乗効果を生むことが求められますので、上記の調理法に合致するようなワインが求められます。
藁焼きのように焦がした印象、厚めに切った身に負けないボリューム感、薬味のようなハーブ感のアクセント、そしてポン酢のようなさっぱりとした印象、こういった要素を持つワインが良いでしょう。
また、冷酒やビールと楽しまれることが多いことからも想像できるように、冷やして美味しいワインの方が好相性です。
カツオのたたきに合うワインその①:ガメイ
ガメイは透き通るような淡い色調で、タンニンが少なくチャーミングな飲み口。赤ワインは冷やすと渋みが立ってしまいますが、ガメイだとタンニンが少ないので冷やして飲むには最適です。
ガメイの産地で最も有名なのは、ヌーヴォーでお馴染のフランス・ボージョレ地方。しかし、カツオのたたきとの相性という面で考えると、フレッシュでピチピチとしたヌーヴォーよりも、もう少し落ち着きのあるものの方がベターです。
特におすすめなのが、「モルゴン コート・デュ・ピィ ダミアン・コクレ」。モルゴンはボージョレ地区の中でもクリュ・ボージョレに属する村で、さらにコート・デュ・ピィという名の丘は、複雑な土壌が入り交じっています。
そして自然栽培、自然醸造で造られたキュヴェは、ナチュラルでするすると飲めるのに、十分なボリューム感とスパイシーなニュアンス、そして土壌から連想される鉄っぽさは、カツオの身の味わいとのイメージを想起させます。
冷蔵庫なら1時間半程度、10℃~12℃で楽しむのがベストです。
カツオのたたきに合うワインその②:海の近くのワイン
海の近くの畑のブドウから造られたワインは、必然的に海の幸と良く合います。しかし海鮮料理ならば何でも相性バツグンなのかというと、必ずしもそうではありません。
こちらの「アモロ・ティント」 は、ティンティージャという他には類を見ない、スペイン・アンダルシア地方の土着品種。透き通った色調にさくらんぼのような味わいで、するすると飲めてしまいます。
海に近い地域のブドウで造られた赤ワインは非常に多いですが、タンニンのしっかりしたものはカツオのたたきのような料理よりも、煮たり焼いたり火を通したものの方が好相性です。
カツオのたたきに合うワインその③:キアンティ・クラッシコ
この組み合わせが最も意外かと思われるかもしれませんが、実はペアリングにぴったりと合致する共通項が存在します。
一つは、キアンティ・クラッシコの持つ鉄っぽい味わいの要素が、カツオの鉄っぽさとピッタリとマッチする点で、相乗効果を生み出します。
もう一つは、カツオを藁焼きにすることによって得られる薫香が、ワインの持つ樽感やタンニンと絡み合う点です。
キアンティ・クラッシコは多数の生産者がいるので、確実に品質の良い生産者を選びたいところ。特におすすめは「フェルシナ」 です。玉石混交のこの地にあって、最上のベラルデンガ地区にあり、造り方は昔ながらの伝統的な製法そのもの。近代的なものやナチュラル感の強いものより、このタイプがベストです。
最後に
同じ生魚を使った料理でも、寿司の場合だと酢飯との相性を考えると白ワインの方がベターです(ただし、醤油との相性を考えるのはなかなか高難易度)。
また、カルパッチョの場合もオリーブオイルや柑橘系のドレッシングとの相性を考えると、白ワインと合わせる方がペアリングとして最適と言えます。
その点、炙って肉厚に切り、薬味をたっぷりかけてポン酢で味わうという、素材の特徴からも味付けの特徴からも、カツオのたたきには赤ワインは理に適っています。
ぜひペアリングの参考にしてみてください。
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日本ソムリエ協会認定ソムリエ
大手ワインショップや個人経営のワインショップの店長として、通算15年に渡り店頭にてワイン販売に従事。現在はナチュラルワイン専門のインポーターにて営業職。専門用語を如何に使わずにワインの魅力を一般消費者に伝えるかと、有名無名に関わらず安くて美味しいワインの発掘に腐心し続けている。
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