イタリアでは、20州それぞれの郷土料理があり、州が異なると料理もがらりと変わります。イタリア中部のトスカーナ州の料理は、とにかく肉！そして、トスカーナといえば、イタリアでも赤ワインの名産地。地元の赤ワインを合わせれば、肉料理もますますおいしくなります。

今回は、トスカーナの名物である肉料理をご紹介します。

トスカーナの肉料理

イタリアのトスカーナ州では、海岸沿いの一部を除いて、魚はめったに食されません。トスカーナの州都のフィレンツェは、海から直線距離で約80キロのところに位置するため、伝統的に魚を食べることは少なく、魚の郷土料理は干しダラの煮込みくらいです。

フレッシュな魚を使う郷土料理は見当たりません。その代わり、トスカーナでは、畜産がさかんで、おいしい肉がたくさんあり、肉の郷土料理は数知れず。その中でも、代表的なふたつの肉料理をご紹介します。

ペポーゾのインプルネータ風

肉料理の主役はやはり牛肉。「インプルネータ」とは、フィレンツェから15キロほど南にある村の名前で、瓦などのテラコッタ作りで栄えた村です。

中世、テラコッタを焼いていた窯の近くに鍋を置き、牛肉を煮込んだというのが、インプルネータ風。「ペポーゾ」とは、「胡椒（ペーペ）たっぷりの」という意味の牛肉の煮込みです。

たっぷりの胡椒とニンニクで、がっつり味をつけ、名産のキャンティ・ワインでコトコト長時間煮込みます。そして、キャンティ・ワインを飲みながら食べるのがトスカーナ流です。

【牛肉のインプルネータ風のレシピ】

▼材料（2人分）
牛すじ肉…500g
赤ワイン（できればキャンティ・ワイン）…1カップ
胡椒…大さじ2
ニンニク…3片
水…半カップ
濃縮トマトペースト…大さじ1
塩…適量

▼作り方
①牛すじ肉を4センチくらいの角切りにする。
②鍋に、塩以外の材料を入れる（ニンニクは皮をむいてまるごと入れる）。蓋をして弱火で約2時間煮込む。塩は、30分くらい煮込んだところで入れる。
③肉がやわらかくなったら出来上がり。

ペポーゾのインプルネータ風ペアリングワイン

合わせたいキャンティ・ワインは、バローネ・リカーゾリのキャンティ。バローネ・リカーゾリは、1141年からワイン造りをおこなっているトスカーナの名門ワイナリーです。

こちらのキャンティは、すみれのような花、ベリーミックスの果実の香りで、スパイスのニュアンスも感じられ、とてもバランスのいい味わいです。

バローネ・リカーゾリは、イタリアでも根強い人気で、このキャンティは非常にコスパがよくおすすめです。牛肉もワインもどんどんすすむダイナミックな組み合わせです。

トスカーナ風ポークステーキ

トスカーナでは、豚肉がもっともポピュラーな肉といってよいでしょう。家庭でもレストランでもよく食べられ、特に骨付きのロースが人気です。

ほどよい脂がジューシーで、大人も子どもも大好きです。大きな塊のまま調理されることも多い豚肉ですが、ここでは作りやすいスライスの料理をご紹介します。分厚いスライスを使ってボリュームのある一品に仕上げるのがポイントです。

【トスカーナ風ポークステーキのレシピ】

▼材料（2人分）
豚肉ロース（できれば骨付き）…2枚（約300グラム）
オリーブオイル…大さじ2
ニンニク…1片
赤ワイン…半カップ
濃縮トマトペースト…小さじ1
小麦粉…適量
塩胡椒…適量

▼作り方
①豚肉に塩胡椒し、小麦粉をまぶす。
②フライパンにオリーブオイルを熱し、中火で①を両面焼く。
③肉をフライパンから取り出す。フライパンにニンニクのみじん切りを入れ、弱火で熱する。
④赤ワインと濃縮トマトペーストを混ぜておく。
⑤ニンニクが色づいたら、④を加えて、5分くらい煮詰め、塩胡椒をする。
⑥取り出した豚肉を⑤に戻して、約3分ソースとからめながら熱する。

トスカーナ風ポークステーキのペアリングワイン

トスカーナ風の豚肉料理には、トスカーナの主要品種であるサンジョヴェーゼがぴったりです。サンジョヴェーゼの中でも、モンテプルチアーノのサンジョヴェーゼは、酸味がやさしく、まろやかになったソースと肉厚のポークを包み込んでくれます。

ボスカレッリのロッソ・ディ・モンテプルチアーノは、フローラルな香りとフレッシュなベリー系の果実味が美しく、心地よい味わいです。

ボスカレッリは、1962年創業のファミリー経営の小さなワイナリー。自然に耳をかたむけて造られるナチュラルなワインは、高く評価されています。ワイン好きの間でファンの多い造り手です。

まとめ

トスカーナの肉料理は、家庭で親しまれているシンプルなレシピが大半です。でも、トスカーナの肉料理にトスカーナの赤ワインをペアリングするだけで、なんだかリッチな気分にさせられます。

それがトスカーナの肉＆ワインの最大の魅力。みなさんもこの肉とワインのペアリングをぜひ試してみてください。

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