ペアリングワイン

年末年始のおすすめ乾杯イタリアワイン

新しい年を迎えるときに、何のワインで乾杯しますか?イタリアでは、必ずといっていいほどスパークリングワインを飲みます。
今回は、年末年始にふさわしいイタリアワインをご紹介します。

イタリアの新年スパークリングワイン

イタリアでは、大晦日のカウントダウンの際にスプマンテを用意します。そして、「3、2、1」といっている間にボトルとコルクを持ち、ゼロになった瞬間に「明けましておめでとう!」と抜栓します。家で新年を迎える場合も、外で新年を迎える場合も、この恒例行事をおこないます。

元旦の食卓にもやはりスプマンテが登場します。また、大晦日の夕食は「チェノーネ」と呼ばれ、たっぷりの量の食事を長い時間かけて食べます。「チェノーネ」とは、「大きい食事」という意味で、ここでもスプマンテが欠かせません。

2019年から2020年にかけての年末年始の時期にイタリアで消費されたスプマンテの量は、約7400万本。イタリアの人口は、約6000万人ですから、ひとり1本以上の計算になります。また、イタリア人の91%は、イタリア産のスプマンテで乾杯するというデータがあります(イタリア農業組合Coldiretti統計)。シャンパーニュや他国のワインではなく、自国のスプマンテで乾杯をするのです。

今年は何本のスプマンテが抜栓されるのでしょうか。

おすすめの乾杯イタリアワイン

ここで、乾杯におすすめのイタリアのスプマンテをご紹介します。

◎おすすめフランチャコルタ
スプマンテといえば、なんといっても「フランチャコルタ」。ミラノ東のフランチャコルタ地方のDOCG(統制保証原産地呼称)ワインで、シャンパーニュ製法で造られます。きめ細かい泡とまろやかな味わいが上質で、お祝いごとにふさわしいスプマンテです。

▶︎フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュヴェ・ブリュット ベラヴィスタ

ベラヴィスタは、フランチャコルタを代表するワイナリーで、1976年の設立以来、定評があります。エノロゴ(醸造家)のマッティア・ヴェッツォーラは、イタリアのワインガイド本『ガンベロロッソ』2008年版で最優秀醸造家に選ばれました。

フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュヴェ・ブリュットは、いきいきとした花の香り、熟した洋梨やイーストの香りがあり、バニラのニュアンスも感じられます。

複雑で華やかなアロマが広がり、フレッシュさを持ちながら味わい深く、余韻が長く続きます。ゆっくりと味わって飲みたいスプマンテです。

◎おすすめトレントDOC
フランチャコルタと同様、シャンパーニュ製法で造られるスプマンテには、「トレントDOC」があります。フランチャコルタはDOCGとして格付けが上とされているため、品質がより優れているかのようなイメージがありますが、トレントDOCもフランチャコルタに劣らない上品な味わいで、イタリアでは大変人気があります。

トレントDOCは、イタリア最北端のトレンティーノ・アルトアディジェ州のトレント周辺で造られます。この地方は険しい山々が連なり、トレントDOCは「山の泡」と呼ばれています。昼夜の温度差が大きいため、ワインにはきれいな酸が生まれます。また、山地で造られるワインの特徴であるミネラルも豊富です。瓶内二次発酵からくる繊細な泡と豊富なアロマが魅力的なトレントDOCは、祝杯としてぜひ飲みたいスプマンテです。

▶︎ロータリ・エクストラ・ブリュット・アルペ レジス

ロータリは、イタリアで根強い人気があるトレントDOCの造り手です。ロータリ・エクストラ・ブリュット・アルペ レジスは、シャルドネ100%で、48か月の瓶内熟成を経て造られます。

ヴィンテージ表記があるワンランク上のスプマンテで、ふくよかで、なめらか。青リンゴやパイナップル、香ばしいパンやナッツの香りがあります。ミネラル感にあふれ、エレガントな味わいに加え、コストパフォーマンスが大変いいワインです。

◎おすすめプロセッコ
世界で最も名の知られているイタリアのスプマンテといえば、やはり「プロセッコ」でしょう。ヴェネツィアの北方で造られるプロセッコは、産地が広く、生産量も多く、格付けもDOCとDOCGがあります。

ポピュラーなワインだけあって、多くのイタリア人が年末年始にプロセッコを選びます。プロセッコはお手頃な価格も魅力のひとつですが、年末年始には少し上等なものを選ぶと気分も盛り上がります。

▶︎プロセッコ・ヴァルドッビアーデネ・エクストラ・ブリュット コル ヴェトラーツ

コル・ヴェトラーツは、DOCGプロセッコに指定されているヴァルドッビアーデネにあるワイナリーです。ここは、標高400メートルほどのカルティッツェの丘に位置しています。美しい段々畑で育つブドウからできる「プロセッコ・ヴァルドッビアーデネ・エクストラ・ブリュット」は、澄みきった果実味が感じられ、なめらかで調和のとれている味わいです。

まとめ

来る年がみなさんにとってよい年でありますように!
ぜひイタリアのスプマンテで乾杯して、新しい年の福を引き寄せてください。

太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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