甘うまい!すき焼きとワインのペアリング
すき焼きとワインで贅沢な週末はいかがですか?
今年は生活環境の変化から、外食が減ったという方も多いのではないでしょうか?外食を楽しむ機会が減った分、お家でプチ贅沢を楽しむご家庭が増えているようです。
今回は、皆さんの大好きな『すき焼き』とワインを合わせるポイントや、相性の良いワインを紹介させていただきます。
すき焼きとワインを合わせるポイント
すき焼きとワインを合わせるには、大きく分けて4つのポイントがあります。
◆甘やかな味わいを活かす
関西風も関東風も砂糖・醤油・酒を使う甘やかでコクのある味わいがベースです。ワインも甘さとコクのある味わいのものを合わせると、風味が増長して豊かに感じられます。渋みが強過ぎるとすき焼きの味わいを消してしまうことがあるので注意が必要ですが、温かい地域の熟れたタンニンの赤ワインは相性良く楽しめます。
◆醤油の風味と合う樽熟成のワイン
樽熟成による木樽の風味は醤油の風味と同調し、空気に触れて酸化したことによる風味がすき焼きのメイラード反応による甘香ばしさと同調するため、共通項が増えてより合いやすくなります。
◆卵の有無
すき焼きは生卵につけて召し上がる方が多いと思います。赤ワインと合わせる際には、生卵無しで召し上がる方が相性が良く感じられます。白ワインと合わせる際には、生卵有りがおすすめです。
◆割下に赤ワインを使う
とっておきのコツとして、赤ワインを合わせる際には割下に酒の代わりに赤ワインを使うとより相性がアップします。
それでは、すき焼きと相性の良いワインを紹介させていただきます。
ミュゼ・ドゥ・ヴァン 松本平ブラック・クイーン
お肉や割下の味わいにはもちろんのこと、特に春菊やキノコや根菜を入れたすき焼きとばっちり合わせるなら、ブラック・クイーンのワインがおすすめです!
ブラック・クイーンは昔から生食用として信州松本平で栽培されていました。ところが2000年頃から巨峰など人気のブドウへと改植が進み栽培量が激減してしまい、なんとか松本平の気候風土にあったブラック・クイーンを残そうと取り組まれたのがこのワイン造りです。
一部マセラシオン・カルボニックを施し樽熟成をすることによって濃厚でありながら渋みを抑え、円やかな味わいのワインを試行錯誤によって生み出されたコストパフォーマンスにも優れたワインです。
ブラック・ベリーやブルーベリーのコンポートにヴァニラ、ほんのりと香る土の香り。濃厚な果実味に酸がジューシーに広がります。濃い色調とは裏腹に、親しみやすい甘旨味でスルスルと飲めてしまいます。
口内に残る収斂味やブラック・クイーンならではのゴボウを連想させる土の風味が根菜や春菊などと同調し、相性抜群です。
▶︎ミュゼ・ドゥ・ヴァン 松本平ブラック・クイーン* 原産国: 日本
* 産地:長野
* 品種: ブラック・クイーン
* 生産者:株式会社アルプス
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
アシュトン・ヒルズ ピカデリー・ヴァレー・ピノ・ノワール
オーストラリア最高峰のピノ・ノワールとして知られるアシュトン・ヒルズ・ヴィンヤード。アデレード・ヒルズのピカデリー・ヴァレーにある標高570m冷涼気候の自社畑で育ったピノ・ノワールと、温暖気候のセメタリー・ブロックのピノ・ノワールをブレンドして全房発酵で造ったワイン。
チェリーのコンポート、レーズン、チョコミント、ヴァニラの香りにボリューム豊かなボディ。シルキーな舌触りに、ジューシーな果実味、きめ細やかなタンニンがそれぞれの畑の個性を感じさせながら上手く融合しています。
甘やかなボリュームある香りと、コクの豊かなすき焼きの風味が良くマッチします。ぜひ割下にも赤ワインを加えて合わせてみてください。
▶︎アシュトン・ヒルズ ピカデリー・ヴァレー・ピノ・ノワール* 原産国: オーストラリア
* 産地:アデレード・ヒルズ
* 品種: ピノ・ノワール
* 生産者:アシュトン・ヒルズ・ヴィンヤード
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
サントリー ジャパン・プレミアム・塩尻マスカット・ベーリーA・ミズナラ樽熟成
マスカット ・ベリーAは樽熟成させることによってイチゴのコンポートのような果実味と樽の要素が上手く溶け合って円熟した醤油にも似た甘香ばしい風味が生まれます。この風味がすき焼きの味わいと非常に良く合います。
このワインは通常使われる樫樽では無く珍しくミズナラ樽を使用したもので、まるでココナッツや白檀のような華やかな香りと、マスカット・ベーリーAのイチゴのコンポートやほんのり土のような香りが相まった日本が誇る素晴らしいクオリティのワインです。
▶︎サントリー ジャパン・プレミアム・塩尻マスカット・ベーリーA・ミズナラ樽熟成* 原産国:日本
* 産地:長野
* 品種: マスカット・ベーリーA
* 生産者:サントリー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
パレット・ルージュ シャトー・シモーヌ
シャトー・シモーヌは、フランスのプロヴァンスを代表する歴史あるシャトーの一つで、1830年からルジエ家が所有しています。4代目の当主ジャン・ルジエがAOCパレットの認定にリーダー的な役割を果たしたことでも知られています。
化学的な肥料や除草剤は一切使用せず平均樹齢50〜110年以上のブドウを手摘みにし、野生酵母にて発酵された自然で伝統的なワインです。
レッドチェリーやフランボワーズ、ブルーベリー、バラやスミレの華やかな香りに、ガリーグ、腐葉土、マッシュルーム、鞣し革など複雑な香りがエレガントに香ります。柔らかい果実味に穏やかな酸味が広がり、タイトなミネラル感にしっかりとしたストラクチャーが共存しています。
ワインのもつ複雑な風味がすき焼きの割下の風味と合わさって、より複雑で上質な味わいへと格上げしてくれます。
▶︎パレット・ルージュ シャトー・シモーヌ* 原産国: フランス
* 産地:プロヴァンス
* 品種: グルナッシュ、ムールヴェドル、サンソー
* 生産者:シャトー・シモーヌ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
リースリング・フォルブルク・グランド・クリュ ピエール・フリック
卵をつけて召し上がりたい方にお勧めなのが、意外にも相性が良いリースリングの白ワインです。
ピエール・フリックはフランスのアルザスのビオディナミの先駆者的存在。このリースリングはアルザスのグラン・クリュ・フォルブルグで栽培されたもので、フォルブルグの丘は特に日照量の多い事で知られています。
アプリコットのコンポートや、蜜リンゴ、レモンピール、イースト、蜂蜜など香りが華やかに広がり、果実の熟度が高く、しなやかでキレの良い酸と豊かなミネラルと旨味が広がり身体に優しく染み渡ります。
すき焼きの甘やかな味わいに寄り添うには熟度の高いリースリングが特に合うので一押しです。
▶︎リースリング・フォルブルク・グランド・クリュ ピエール・フリック* 原産国:フランス
* 産地:アルザス
* 品種: リースリング
* 生産者:ピエール・フリック
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
すき焼きとワインを合わせて贅沢なひとときをお楽しみください。
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JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。
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