ペアリングワイン

今注目すべき日本人醸造家「小山浩平」さんの手掛けるURLARワイナリーとは?

ニュージーランドワインと聞いて、日本人醸造家の名前を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

小山浩平さんもニュージーランドで活躍される日本人醸造家のお一人。

今回は、小山さんにご協力いただき「ニュージーランドワイン」について「URLARワイン」について直接質問させていただきました。

ニュージーランドで活躍される小山浩平さんとは?

まずは、一風変わったご経歴の持ち主である小山さんのご紹介。

~以下URLARワイナリーのHPより抜粋~
“東京大学卒業後、東京、ロンドンなどの金融機関で11年間働き、赴任先のロンドンでワインに目覚める。 理想のワイン造りを求めて、家族でニュージーランドに移住。南半球で最も古い農業学校であり、そして世界的な研究機関としても名高い「リンカーン大学」で学び、ブドウ栽培・ワイン醸造学科を首席で卒業。

DuMOL(米国カリフォルニア・ロシアンリヴァー)やBell Hill、Muddy Water/Greystone (ニュージーランド・ワイパラ)などで栽培醸造経験を積んだ後、ネルソン近郊のパーマカルチャーエコビレッジ内でブドウ栽培・ワイン造りを開始。
(引用: グラッドストーン・アーラ―

とまさにエリート街道を進んでいた矢先に、ワインに目覚めてニュージーランドでワイン造りを学び、実際にワイン醸造家になってしまうという行動力の高さ!

正直、お会いする前はどんな方なのだろうか・・と少し不安な気持ちも混ざり色々な想像をしていたのですが、実際にお会いし、まず感じたのは「この人は国を問わず好かれる人」だろうなということ。

お手伝いで参加させて頂いたイベントの最中も積極的に他の出店ワイナリーの方たちとお話をし、「あそこのワイナリーのワインが美味しかったよ。飲んでみた?」と見つけたワインを私やスタッフに教えて下さる物腰の柔らかさ。

その姿勢を見ていると、小手先だけでは通じないコミュニケーション力の高さを感じました。そして、これは助け合うということが「当たり前」のニュージーランドの人たちと通ずる心だと強く感じました。

URLARワイナリーとは?

小山さんが現在栽培醸造責任者として携わるURLARワイナリー(アーラ―ワイナリ―)は、ニュージーランド北島の最南端のワイン産地「マーティンボロー」の中心から車で20分程北に走ったグラッドストーンという場所にあります。

このエリアは、1日の最高気温と最低気温の差が大きい為、ブドウが高い糖度で熟しながらも爽やかな酸味を保持し成熟するので、フレッシュかつ強いアロマを兼ね備えたワインを造ることができます。その為、新世界ながらエレガントさを兼ね備えたマーティンボロー地方のピノ・ノワールは世界的にも高評価を得ています。

URLARのワインは2010年にBioGro認定(ニュージーランドのオーガニック認定)を受け、有機農法に徹しています。化学肥料や殺虫剤を一切使用しないのはもちろん、処理されたブドウの種や皮は肥料として再利用、また月の満ち欠けに準じた「バイオダイナミック農法」を取り入れるなど自然と共存したワイン造りをしています。まさに古英語で「大地」を意味するURLARという名にふさわしいワイナリーです。

小山さんに質問 ニュージーランドワインとURLARワインの魅力

◯なぜ、ワイン造りの地にニュージーランドを選ばれたのですか?
貴重な冷涼気候のぶどう産地で「南半球のブルゴーニュ」と呼ばれるなど、ワイン用ぶどうの銘醸地として世界的に注目を集めていたので。海外からの造り手を受け入れるオープンさと、栽培家、醸造家が隠し立てせずノウハウを共有しあい、みんなで世界的な産地に育てていこうという雰囲気があることが理由です。

◯ニュージーランドの中でもグラッドストーン(ワイララパ)を選ばれた理由を教えてください。
なんといっても、ピノ・ノワールに重要な乾燥しかつ日中と夜間の寒暖差が大きいこと。北以外の三方を山に囲まれ、南極風が遮られること。数百万年前に形成された水はけの良い堆積土壌があることです。

◯他のワイン産地にないワイラパパの魅力は何ですか?
ブティックワイナリーしかないにも関わらず、ニュージーランドのトップワイナリーが多く所在していること。 首都ウェリントンにも近く訪問者も多いことです。

◯移住者が異国の地でその土地に根付く産業を始めるにあたって難点ややりがいなどがあれば教えてください。
URLARは私以外、国籍は多様ですが、ニュージーランド人主体のいわゆる「英語人」です。英語でのコミュニケーションとなりますが、背景としている文化や考え方の違いを理解しながら、ベストのワインを作るようにチームをまとめることに心を砕いています。移住者として不利を感じたことはありませんが、いつも勝手に日本人代表というような気持ちで、「やっぱ日本人はちゃんとしていていいね」と思われるように言動には気をつけています。

◯今後のURLARワイナリーのヴィジョンなどあれば教えてください。
まずは数年内にワイララパトップのオーガニックワイナリーになること、将来的にはニュージーランドワインと言えば、URLARとなるようにしたいです。

小山さんとURLARワイン

いくら自分が情熱を向けることであっても、異国で一から学びその業界に馴染んでいくのは至難です。しかし、小山さんの持つ「この人の為なら!」と思わせるパーソナリティが国籍や性別や年代を超えて良いチームを作り良いワインを造る原点になっているのではないかと思います。

小山さんが造るUrlarワインの味わいもまた、その人柄と重なるように他と「競う」ではなく自然やその土地に根付くものと「調和する」という言葉が似合うワインだと感じます。

URLARワインのご紹介

現在URLARワイナリーでは、ピノ・ノワール・ソーヴィニヨンブランを中心に9種のワインを造っています。今回はその中の2種を紹介させて頂きます。

1)Gladstone URLAR Sauvignon Blanc

* 産地:マーティンボロー / グラッドストーン
* 品種:ソーヴィニヨン・ブラン
* 容量:750ml

(味わい)
レモンなどの柑橘系のアロマにスイカズラなど白い花のニュアンスが加わります。口に含むとミネラル感が広がり、かすかにアーモンドなどの樽熟成が感じられ味わいに複雑味が感じられます。こちらのソーヴィニヨン・ブランは口に含んだ後のミネラル感がワインにボリュームを与え、一般的なフレッシュ&ハーブのニュアンスの強いニュージーランド・ソーヴィニヨンブランと比べ複雑性のある味わいです。食中酒として「お浸しや和風サラダなど」ご家庭での和食の副菜とも相性抜群です!

2)Gladstone URLAR Pinot Noir

* 産地:マーティンボロー / グラッドストーン
* 品種:ピノ・ノワール
* 容量:750ml

(味わい)
ブルーベリーやカシスのようなフレッシュなベリー系果実の印象にナツメグや甘草のようなスパイス、口に含むとバランスの取れたタンニンと酸が感じられ余韻まで続きます。こちらは普段から私がワイン会やホームパーティーなどに持っていくワインでもあります。エレガントでありながら果実味をしっかり感じられる味わいで、飲んだ人から「どこのワイン?」と必ず聞かれる間違いのない一本です。

まとめ

今回は小山さんにご協力頂き、生の生産者の声を皆さんにお届けしました。また、完全オーガニック・バイオダイナミック農法についても機会があれば伺いたいと思っています。

記事を読んで頂き、少しでもニュージーランドについて・ニュージーランドワインについて興味を持っていただければ本望です!まだ、URLARワインを試したことがない方は是非一度、本日の一本としてお試しになってみてはいかがでしょうか。

URLARワイナリーのホームページはこちら
GLADSTONE URLAR/グラッドストーン アーラー

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高橋 宗子

【お家で楽しむワイン提案のワインエキスパート】
ニュージーランドワイン好きが高じて、ワイナリー・ブドウ畑巡りをする為ニュージーランドへ移住。
都内ワインインポーターにて星付きレストランにもワイン紹介をしてきた経験を活かし「お家でも気軽に楽しめるワイン時間」を提案しています。 高橋 宗子の記事一覧 

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