ペアリングワイン

世界の偉人に愛されたワイン

ワインの魅力

ワインは昔から様々な偉人をも魅了し、愛されてきました。各国の王侯貴族や作家、芸術家、俳優など様々な偉人が愛したワイン。ワイン1本にも数多くのストーリーがあります。

私達は同じ時代を生きていなくてもその偉人達を魅了したワインを堪能することができます。これは当たり前のようでいて素晴らしい経験であり、ワインの大きな魅力の一つです。

今回は、世界の偉人達を魅了したワインを紹介させていただきます。

アーネスト・ヘミングウェイ

1954年にノーベル賞を受賞し、『老人と海』『誰がために鐘は鳴る』など世界的に素晴らしい作品を執筆したアメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイ。

無類の酒好きで小説の中にも必ずと言っていいほどお酒が登場し、『川を渡って木立の中へ』にはマティーニが登場。『海流の中の島々』では、フローズン・ダイキリが登場し、小説とともにアメリカで大流行しました。

中でもとりわけワインへの愛情が大きく、
『ワインは私たちが手に入れることのできる限りのものの中で、もっとも感覚的な喜びを与えてくれるものである。』 
という言葉からもワインへの深い愛が感じられます。

ワイン好きが高じて、メドック格付け第一級のシャトー・マルゴーを孫娘の名前にしたほどです。シャトー・マルゴーのように麗しい女性として成長したマーゴー・ヘミングウェイは映画女優として活躍しました。

▶︎シャトー・マルゴー

五大シャトーの中で一際エレガントと評されているシャトー・マルゴー。今では性差別の観点から見ても、一人ひとり解釈の異なる曖昧な官能表現で、女性的という表現は不適切となりましたが『女性的』と表現をされることの多いワインです。

優雅で香り高く、力強さがありつつもしなやかなストラクチャーが印象的なワインは、今は亡き総支配人ポール・ポンタリエ氏が例えた『ベルベットの手袋のなかの鋼鉄の拳』を連想させます。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率を80%以上に高めて、強さを秘めたしなやかさを表現しています。

ウィンストン・チャーチル

英国の元宰相ウィンストン・チャーチルは、第二次世界大戦でナチスドイツに勝ち、ヨーロッパを救った強靭な宰相として知られています。

フランスで開催された英国公使主催の昼食会でポル・ロジェを飲んで以来このシャンパンに魅了され、生涯にかけてこよなく愛し、アメリカの禁酒法の煽りを受けるポル・ロジェを強力なパトロンとして支え、繋がりの深い関係でした。所有していた競走馬にもポル・ロジェという名をつけているほどです。

第2次世界大戦に参戦した際には『フランスのために戦っているのではない、シャンパンのために戦っているのだ。』と名言を残しています。両者の繋がりから、ウィンストン・チャーチルの『鉄の宰相』というイメージがいつしかポル・ロジェにも染み渡り、ポル・ロジェのもつ重厚なイメージへと繋がっていきました。

ウィンストン・チャーチルが亡くなった1965年には、ポル・ロジェは追悼の意を込めて黒帯で縁取られたシャンパーニュを発売しました。そして、1975年にはチャーチルに捧げる『サー・ウィンストン・チャーチル』が発売され、今でもポル・ロジェのプレステージ・キュヴェとして君臨しています。

▶︎キュベ・サー・ウィンストン・チャーチル ポル・ロジェ

英国の宰相ウインストン・チャーチルの寵愛を受け、英国王室御用達のシャンパーニュ・メゾン ポル・ロジェ。こよなく愛してくれたウインストン・チャーチルへのオマージュとして捧げたこのキュヴェは、彼が好んだ力強くて、しっかりと熟成した、味わい深いシャンパンに仕上げられています。

グレープフルーツやオレンジピールなどの柑橘系フルーツや、ヘーゼルナッツやアーモンドのロースト、焼き立てのブリオッシュのような香ばしく芳醇な香りに、繊細でキメ細やかなクリーミーな泡が持続的に続き、豊かな旨味とバランスの良い酸、芳醇な香りを引き連れた余韻が長く続きます。

レオナール・フジタ

近年その人生が映画化され、日本でもファンの多い画家レオナール・フジタこと藤田嗣治。エコール・ド・パリを代表する画家のひとりでフランスで最も有名な日本人画家です。

シャンパーニュ・メゾン・マムの当時の社長ルネ・ラルーは芸術愛好家で収集家でもあり、1955年戦争で一時帰国していた日本に嫌気が差して帰化した藤田嗣治のフランス国籍取得に尽力しました。

1959年にランスの大聖堂で夫人とともに洗礼を受ける際に立会人を務めたのもルネ・ラルーで、藤田嗣治の才能を認めパトロンになり、友人としても彼を支えました。そして、今も尚レオナール・フジタが描いた薔薇の絵をマムのロゼのミュズレに見つけることが出来ます。

そして、レオナール・フジタへのオマージュとして捧げられたロゼ・フジタが2018年5月7日にリリースされました。レオナール・フジタが描いた薔薇の絵がボトルネックにデザインされていて、華やかなロゼシャンパーニュのイメージにぴったりです。

▶︎メゾン マム RSRV ロゼ フジタ

アール・エス・アール・ヴイとは、フランス語のReservéのことを意味していて、限られた人の為に造られた特別なキュヴェを仕込む際に、RSRVと記される慣わしから名付けられました。このキュヴェを造るにあたり新たに買い足されたヴェルズネイのキレのある味わいのピノ・ノワールと、クラマンの溌剌と真っ直ぐした酸のキャラクターが絶妙に合わさっています。赤系果実やデーツなどドライフルーツ、花々の香りに、フレッシュな酸味と張り詰めたミネラル感が感じられます。

いかがでしたでしょうか?是非、あなたも偉人達を魅了したワインを味わってみてくだい。ワインだけのストーリーではなく、そのワインを愛した人に想いを馳せるのもまたワインの楽しみの一つです。

Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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