ペアリングワイン

実りの秋!秋のフルーツに合うワイン

秋のフルーツとワイン

秋になると沢山のフルーツが旬を迎えることから『実りの秋』と形容される美味しいフルーツの季節になりましたね。市場には新鮮な旬のフルーツが数多く並び、売り場は芳しい香りで溢れます。

今回は、秋に旬を迎えるフルーツと相性の良いワインを紹介させていただきます。フルーツとワインを合わせる贅沢なひとときをお楽しみください。

イチジク

イチジクは実の内側に花をつけるため、外側からは見えないことから『無花果』という漢字が当てられています。なので、厳密に言えばフルーツでは無く、花を食べていることになります。

ペクチンや、カリウム、鉄分などの栄養素が豊富に含まれていて、整腸作用や高血圧予防、消化促進の効果をもち、近年注目されているアンチエイジングにも効果的です。

特に、成分の一つでもあるベンズアルデヒドには抗がん作用や、抗炎症作用、免疫力を上げる作用もあるので、注目が集まっています。この効果を知ってか知らずか古くからイチジクは『不老不死のフルーツ』と称され親しまれてきました。

合わせるワインは、イチジクの香りのするバニュルスがおすすめです。

▶︎バニュルス・ルージュ・ラ・キャラヴァン・デュ・ヴォン ラ・カーヴ・デ・ノマード

ポルトガル出身の元ミュージシャンであるホセ・カルバルホが2014年に設立したばかりのドメーヌです。版画風のデザインのエチケットが印象的ですが、このドメーヌはまだ有名ではありません。

しかしながら、近いうちに人気になることを確信させる完成度の高い味わいのバニュルスを造っています。ブドウはビオディナミ栽培され、平均樹齢が65年以上の古樹からの凝縮したワインを造っています。

ドライイチジクや、レーズンの凝縮した香り、タバコ、黒糖や、ビターチョコレートの複雑な香りもあり、上品な甘さとタンニンもきめ細かく滑らかに溶け込み長く芳醇な香りが押し寄せる余韻へとしなやかに繋がります。

合わせることで、甘やかなイチジクの香りや味わいが何倍にも豊かに感じられます。添えて飲むのも良いですし、イチジクの上に垂らしていただくのもおすすめです。

* 原産国:フランス
* 産地:ラングドック
* 品種:グルナッシュ・ノワール
* 生産者:ラ・カーヴ・デ・ノマード
* 味わい:甘口★☆☆☆☆辛口
* 容量:750ml

洋梨

中国原産の梨がヨーロッパへ渡り派生した洋梨な今や4,000種類ほどの多くの種類が存在するといわれています。洋梨は食べごろまで待つ必要があるフルーツで、追熟して食べごろになると、芳香が豊かになり、滑らかな舌触りにたっぷりの甘い味わいが楽しめます。このことから『バター・フルーツ』とも呼ばれています。

そして、洋梨にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどのビタミン群や、カルシウム、リン、鉄、マグネシウム、銅などのミネラル類を幅広く含まれていて、葉酸やパントテン酸、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸、ポリフェノールの一種であるタンニンも含有量は多くはありませんが、様々な栄養素が含まれているので、様々な効果が期待できる機能性の良いフルーツです。

抗がん作用、高血圧予防、貧血予防、動脈硬化、美肌、脳の活性化、肝臓を保護して消化促進を促す作用など、普段からワインなどのアルコール類を飲む方におすすめのフルーツです。

合わせるワインは、洋梨と相性の良いキャラメルの風味のする甘口シェリーがおすすめです。

▶︎イベリア・クリーム サンチェス・ロマテ

1781年創業のスペインを代表するシェリーメーカーサンチェス・ロマテ。クオリティーが高く、価格はリーズナブルなので、国内ではシェリーの売り上げトップを誇ります。

このイベリアはオロロソから造られるクリームという甘口のシェリーです。レーズン、キャラメル、黒蜜、プリン、ローストアーモンドなど甘やかで芳醇な香り、滑らかな口当たりに豊かなボディ、しっかりとした甘さがありながらも、キレが良く余韻はすっきりとした印象です。

濃厚な甘さのシェリーに洋梨の爽やかさが補完のペアリングになり、ねっとりと滑らかな舌触りが合い、合わせるだけでお口の中で立派なデザートのような味わいが広がります。

* 原産国:スペイン
* 産地:サンルーカル・デ・パラメーダ
* 品種:パロミノ、ペドロ・ヒメネス
* 生産者:サンチェス・ロマテ
* 味わい:甘口★☆☆☆☆辛口
* 容量:750ml

ザクロ

種子が多いことから、古代ギリシャでは豊穣のシンボルとされていたザクロ。カリウム、アントシアニン、ポリフェノールなどの豊かな栄養素を含み、むくみや高血圧や動脈硬化の予防に、抗酸化作用、抗炎症作用、記憶力の向上など優れた効果があります。

日本ではあまり見かけませんが、コーカサスやヨーロッパの諸国では、赤ワインにザクロを入れて広く親しまれています。実際に合わせてみると、ザクロと赤ワインは相性抜群!

赤ワインの中にシナモン、レモン果汁、砂糖を一煮立ちさせ、そこにザクロ果汁を加えたホットワインや、一煮立ちさせて冷やしてからザクロを加え、冷蔵庫で冷やしてからいただくザクロのサングリアもとっても美味しくいただけるので、是非試してみてくださいね。

おすすめするのは、ザクロの一大産地アルメニアの赤ワインです。

▶︎カラシイ ゾラ・ワインズ

アルメニア最高峰の造り手と称されるゾラ・ワインズ。世界的に有名な醸造家アルベルト・アントニーニ氏が醸造長を務め、アルメニアの土着品種から高品質なワインを造りだしています。

このワインの名にもなっている『カラシ』とは、アルメニアの伝統的なワイン醸造に用いる壺のことで、このカラシで発酵・熟成させたアルメニアの土着品種アレニ・ノワールの赤ワインです。

すり潰したワイルドストロベリーや、ブラックチェリーのコンポート、胡椒、クローブやシナモンなど甘苦系スパイスの香り、ローズポプリ、インク、腐葉土など複雑でオリエンタルな香り、滑らかな質感で、良く熟した果実味が豊かに広がり、フレッシュな酸味と鉱物的なミネラル、きめ細やかなタンニンがタイトな印象を与えつつもコントラストのある味わいが奥深さを感じさせます。

ザクロを合わせると、不思議とワインのタンニンが穏やかに感じられ、より滑らかな印象になり、果実の香りや甘さが引き出されます。スパイスの香りも良いアクセントになります。

* 原産国:アルメニア
* 産地:ヴァヨツ・ゾル
* 品種:アレニ・ノワール
* 生産者:ゾラ・ワインズ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

柿の学名はDiospyros kaki=神から与えられた食べ物という意味があり、中国や朝鮮半島原産の歴史あるフルーツです。縄文時代や弥生時代の化石から柿の種の化石が見つかっていますが、その頃に食べられていた柿は今でいう渋柿で、鎌倉時代から突然変異で誕生した甘柿の栽培が始まり、明治時代に広まりました。

日本には『柿が赤くなると医者が青くなる』ということわざもあるほど、ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。ビタミンCやβ−カロテンを多く含み、風邪や肌荒れ予防に効果的で、シビリオールやアルコールデヒドロゲナーという成分がアルコールの分解を助けるので、二日酔いにも効果的です。

柿に合うワインは、アプリコットやミラベルなどのフルーツの香りのある甘口ワインがおすすめです。また、生ハムやブルーチーズとも相性が良く、ワインのおつまみに最適です。

▶︎林農園 五一ワイン フラッグシップロイヤル白

長野を代表するワイナリーの貴腐ワインです。天候に恵まれた年のセミヨンと、自社栽培のシャルドネの貴腐ブドウから造られる貴腐ワインのブレンドなので、優しい甘さがあります。貴腐ワインの蜂蜜のような甘い香りを生かす為、樽香は抑えられています。

砂糖漬けのオレンジやアプリコット、アカシアの花や蜂蜜の甘やかな香りに、ほんのりと樽由来のヴァニラの香りが混ざります。滑らかな舌触り、決して甘すぎない優しい甘さを感じる果実味と穏やかな酸がじんわり柔らかく広がります。

柿の香りとアプリコットの香りが同調して、トロっとした食感の柿に、ワインの粘性、甘さも程よく合います。日本の柿と日本の貴腐ワインの相性は格別に感じられます。

* 原産国: 日本
* 産地: 長野
* 品種: セミヨン、シャルドネ
* 生産者:林農園
* 味わい:甘口☆★☆☆☆辛口
* 容量:720ml

秋のフルーツにワインを合わせて、季節によって様々なワインの楽しみを感じていただけると幸いです。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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