おいしい！イタリアワインとおつまみペアリング

by 太田由歌

ワインを飲むときに欠かせないのがおつまみ。バールでも、レストランでも、ホームパーティーでも、おつまみを食べながらワインを飲むと話も弾み、楽しい時間を過ごすことができます。

今回は、イタリアワインとおつまみをご紹介します。

イタリアワインとおつまみ

もっともポピュラーなイタリアのおつまみは、ブルスケッタです。「火であぶる」という意味のBruscare（ブルスカーレ）に由来する言葉で、その名の通り、パンをあぶってその上に具をのせます。

手でとってパクっと食べることができ、カジュアルなおつまみとして人気があります。お好みの具をのせれば、お気に入りのブルスケッタを作ることができます。ここでは、イタリアワインにぴったりのブルスケッタを2種類ご紹介します。

イタリアでは、ホームパーティーのとき、数種類のブルスケッタをお皿いっぱいに盛り付けます。ワインと一緒におつまみをパクパクと食べながら、話好きのイタリア人の話は尽きることがありません。

ナスのブルスケッタ

ナスはイタリアでもよく食されます。アンチョビを入れてアレンジすることで、ワインのおつまみに最適なひと皿になります。

▼材料（4人分）
・パン（パン・ド・カンパーニュ4枚、またはバゲット8～12枚）
・ナス…2本
・パルミジャーノ…30g
・アンチョビ…3枚
・ニンニク…1片
・バジル…1本
・イタリアンパセリ…1本
・オリーブオイル…大さじ2
・塩…適量

▼作り方
① ナスのヘタをとり、皮ごと適当に角切りにする。
② フライパンに、オリーブオイル、アンチョビ、みじん切りにしたニンニクを熱し、香りが出てきたらナスと塩を入れる。約15分炒める。
③ パルミジャーノ、バジル、パセリと②を一緒にブレンダーで撹拌する。
④ あぶったパンの上に、③をのせ、パセリ（分量外）を飾る。

ペアリングしたいワインは、イタリア中部のアブルッツォ州のトレッビアーノ・ダブルッツォです。トレッビアーノは、イタリアで一番生産量の多い白ブドウで、地方によりさまざまな品種のトレッビアーノがあります。生産量が多いため「ブレンド用ブドウ」、「日常のライトなワイン」というイメージがありますが、トレッビアーノ・ダブルッツォは、近年クオリティーが向上し、豊かな果実味を味わうことができるものがあります。

フレッシュな果実味のあるトレッビアーノ・ダブルッツォは、野菜の料理にぴったりです。おすすめは、マシャレッリの「トレッビアーノ・ダブルッツォ・カステッロ・ディ・セミヴィコリ」。マシャレッリは、故ジャンニ・マシャレッリが1981年にワイン造りを始めたワイナリーです。

アブルッツォ州の4県にまたがる畑を所有し、生産量も多い造り手ですが、地球環境にも配慮し、使用する水や電力の量をおさえ、サステイナブルな農業をおこなっています。

1600年代の貴族の城カステッロ・ディ・セミヴィコリを購入し、大規模な修復をおこない、宿泊施設として生まれ変わらせ、この地方のワインツーリズムにも貢献しています。

この城の名前がついているワイン「トレッビアーノ・ダブルッツォ・カステッロ・ディ・セミヴィコリ」は、柑橘系フルーツや洋ナシの香りで、ピュアな果実の風味を感じることができると同時に、まろやかで洗練された味わいです。

トマトとモッツァレラのカプレーゼ風ブルスケッタ

ブルスケッタの中でも、定番として親しまれているのがトマトのブルスケッタです。トマトだけを使ったものも多いですが、ここではモッツァレラを入れた人気のカプレーゼ風ブルスケッタをご紹介します。

▼材料（4人分）
・パン（パン・ド・カンパーニュ4枚、またはバゲット8～12枚）
・プチトマト…10個
・黒オリーブ…10個
・モッツァレラチーズ…200g
・オレガノ…小さじ1
・バジルの葉…8枚
・ニンニク…1片
・オリーブオイル…大さじ3
・塩…適量

▼作り方
① あぶったパンの上にニンニクをこすりつける。
② プチトマトを1/4に切る。黒オリーブの種をとり、半分に切る。モッツァレラを角切りにする。
③ オレガノ、手でちぎったバジル、オリーブオイル、塩を②と混ぜる。
④ ①の上に③をのせ、オリーブオイルをたらす（分量外）。

トマトとモッツァレラの組み合わせのカプレーゼは、「カプリの」という意味で、カプリ島発祥。イタリア全土で愛されている、見た目もあざやかな前菜料理です。黒オリーブで味のアクセントをつけると、ワインにぴったりのおつまみになります。

ペアリングしたいワインは、カプリ島のあるカンパニア州のブドウであるファランギーナ。古代ギリシャから続く歴史的な土着品種です。ハーブの香りが感じられ、シャープな味わいです。

おすすめは、マストロベラルディーノの「モラビアンカ・イルピニア・ファランギーナ」。1878年に創業したマストロベラルディーノは、土着品種にこだわりワイン造りをしているワイナリーです。

ファランギーナ100%で造られるこのワインは、リンゴやメロン、キウイなどのフルーツの香り、フローラルなニュアンスがあります。さわやかな味わいで、トマトを使ったおつまみにぴったりです。

イタリアのおつまみの代表ともいえるブルスケッタ。ぜひイタリアワインと合わせて、わいわいおしゃべりをしながら楽しんでください。

太田由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理＆ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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