ペアリングワイン

世界各国の焼きそばとワインペアリング

中国の炒麺(チャウミン)から始まった焼きそばカルチャーは、世界中に広がり、世界各国で特色豊かな焼きそばが食べられています。

今回は、世界各国の焼きそばと相性の良いワインを紹介させていただきます。

ソース焼きそば

戦後の闇市から広まった庶民の味。麺にキャベツを足してボリュームを出し、ウスターソースで味付けしたソース焼きそばは、スパイシーでコクが豊かな味わい。

合わせるワインもスパイシーでコクが豊かなコート・デュ・ローヌのワインがおすすめです。

▶︎シャトー・ド・サンコム コート・デュ・ローヌ・レ・ドゥー・アルビオン

ジゴンダスの天才と称される14代目ルイ・バリュオール氏のシャトー・ド・サンコム。

ブラックベリーのコンポート、レーズンなど凝縮感のある黒系果実の香り、ジンジャーブレッド、ナツメグ、クローブなどスパイシーな香りも豊かで、鞣し革や動物的ニュアンスがほのかに香ります。

凝縮感のある果実味とスパイシーな風味、豊かな酸とタンニンがありつつも全体的によく纏まり、艶かしさを感じさせる滑らかな赤ワインです。

ソース焼きそばのポイントとなるソースの味わいに、ワインのスパイシーさがマッチし、豚バラ肉と動物的な香り、コクの豊かな味わいにワインのもつ立体感のある味わいがプラスされて、更に奥深い味わいへと進化します。

* 原産国:フランス
* 産地:ローヌ
* 品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェドル、カリニャン
* 生産者:シャトー・ド・サンコム
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750m

パッタイ

お米からできたクイッティヤオというモチモチした米麺と、魚介や香味野菜の味わいが詰まったパッタイは、ナンプラーやタマリンドの利いた甘酸っぱい味わいが特徴的。具材には、もやし、海老、豆腐、砕いたピーナッツ、唐辛子、パクチーなどが入っています。

合わせるワインは、優しい甘さが特徴のアンジュのロゼワインがおすすめです。

▶︎ブノワ・クロー エグランティーヌ

元はソムリエだったブノワ・クローがアンジュのフェイ・ダンジュ村で造る自然派ワイン。このワインは、樹齢の高いグロローを使ったロゼワインです。

すり潰したワイルドストロベリーや、ラズベリー、アプリコット、バラのポプリ、紅茶やスパイスの複雑な香り、チャーミングな果実味には優しい甘さが感じられ、豊かなミネラル感、スパイスの風味とフレッシュな酸味が利いて爽やかな余韻となります。

合わせることで、パッタイのトッピングの海老の風味や、唐辛子の辛さ、甘酸っぱい味わいと良くマッチし、余韻には海老の風味がより豊かに感じられます。

* 原産国:フランス
* 産地:ロワール
* 品種:グロロー
* 生産者:ブノワ・クロー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750m

ミーゴレン

インドネシア、マレーシア、シンガポールで食べられる焼きそばミーゴレン。ミーは麺、ゴレンは揚げるという意味ですが、実際には炒めて作られます。

ケチャップマニスという甘い醤油のようなソースとにんにく、唐辛子、ナンプラーで味付けをするので、甘辛い味わいで、日本でも人気のインドネシア料理のナシゴレンの焼きそばバージョンといった感じで一度食べると病み付きになります。

合わせるワインは、アロマティックなニュージーランドのゲヴェルツ・トラミネールがおすすめです。

▶︎ブラッケンブルック シャングリラ・ゲヴェルツ・トラミネール

ニュージーランド最長の日射量を誇るネルソンで、アロマティックなワインを造り出すワイナリーブラッケン・ブルック。ネルソンはニュージーランドで引退した人々が住みたいと願う街No.1としても知られています。そのことから、ワイン名をシャングリラと名付け、アーティストが多く住む街柄を活かしてエチケットは風景画家の第一人者Marilyn Andrews氏が手掛け、素敵なネルソンの景色が描かれています。

このワインは、ニュージーランドの理想郷にて生産されるゲヴェルツ・トラミネールを使ったワインです。ライチ、グレープフルーツ、花梨の蜂蜜漬け、バラ、生姜、クローブのアロマティックでスパイシーな香り、豊かな果実味にねっとりした甘み、穏やかな酸がじんわりと広がり、グレープフルーツの果皮のような心地良いタンニンが全体を引き締めます。

スパイシーでエキゾチックな風味がミーゴレンの風味をより豊かに感じさせます。

* 原産国:ニュージーランド
* 産地:ネルソン
* 品種:ゲヴェルツ・トラミネール
* 生産者:ブラッケンブルック・ヴィンヤード
* 味わい:甘口☆☆★☆☆辛口
* 容量:750m

タヤリン・サルタード

ペルーの焼きそばで、中国とペルーの融合=チーファの料理の一つ。タヤリンは麺、サルタードは炒めるという意味です。牛肉、ピーマン、玉ねぎ、トマト、人参と太麺を炒め、醤油ベースで少量のお酢を加えたソースと和えます。そして、お好みでマヒと呼ばれる唐辛子ソースを加えて食べます。中華料理の影響で、醤油を使っているので、日本人にも馴染みやすい味わいです。

合わせるワインは、ムールヴェドルを使ったスパイシーでエレガントな赤ワインがおすすめです。

▶︎ルージュ・クリュ・エル ルドヴィック・アンジェルヴァン

ラングドックの大注目の自然派の造り手ルドヴィック・アンジェルヴァン。ラングドック最東部の奥地にあるヴィック・ル・フレスク村はラングドックにありながら、冷涼なクリマであることが特徴で、内陸の盆地で冷たい空気がこもるため、繊細さのあるワインができるテロワールです。

フレッシュブルーベリー、プラム、チェリーなどのフルーツや、タイム、スミレの花の砂糖漬け、アニス、ミルクチョコレート、ヴァニラの豊かな香り、滑らかで豊かな果実味とコク、しなやかな酸ときめの細やかなタンニンがエレガントな印象で、長い余韻へと繋がります。

意外にもペルーの焼きそばタヤリン・サルタードと好相性で、牛肉や醤油のコクとワインのコク、そしてタイムやアニスの風味が良いアクセントになっています。

* 原産国:フランス
* 産地:ラングドック
* 品種:グルナッシュ、ムールヴェドル
* 生産者:ルドヴィック・アンジェルヴァン
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750m

甘味、酸味、辛味と豊かな味わいを持つ世界各国の焼きそばは、実はワインと良く合い、ワインのもつ甘さや、酸、スパイスの風味などを考慮して選ぶことで、より楽しむことができるので、是非お試しください。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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