ペアリングワイン

気分はイタリア!旅するようにイタリアワインを飲もう

イタリアは、北はアルプス山脈を越えるとスイス、南は海をはさんでアフリカという南北に長い国です。

イタリアを旅すると、景色、気候、風習のバラエティーの豊かさに圧倒されます。ワインも同様で、産地によって風土が大きく異なり、さまざまなワインがあります。

今回は、長靴の形をしたイタリアを旅するように、北から南のイタリアワインをご紹介します。

ヴェネト州のワイン@ヴェネツィア

ヴェネト州の州都であるヴェネツィアは、「水の都」と呼ばれる世界有数の観光地です。ゴンドラが運河を行き交う光景は、絵画や写真でだれしもが一度は見た事があるでしょう。

ヴェネト州は、イタリアでワインの生産量がもっとも多い州です。ヴェネツィアの周辺には、プロセッコの広大なブドウ畑が続いています。プロセッコは、軽やかな口当たりとフルーティな味わいで、世界で一番生産されているスパークリングワインです。

また、ガルガーネガ種から造られるソアーヴェもヴェネト州のワインです。フレッシュな飲み口で、果実味がたっぷり感じられるのが魅力の白ワインです。

ヴェネツィアには、バーカロと呼ばれる立ち飲みバールが立ち並んでいます。お惣菜を食べながら、くいっとワインを飲みほすカジュアルなバーカロでは、プロセッコやソアーヴェが人気です。

カジュアルなワインが中心のヴェネト州ですが、内陸のヴァルポリチェッラ地区では、長期熟成に耐えるワイン、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラが生産されています。収穫後のブドウを3~4か月陰干ししたあとに圧搾して造られるため、濃厚で複雑な味わいです。

ロンバルディア州のワイン@ミラノ

荘厳なゴシック様式の大聖堂がシンボルのミラノは、歴史的な建物が残ってはいるものの、ファッショナブルな都会で、イタリアのビジネスの中心地となっています。

ミラノの東にあるイゼオ湖周辺では、フランチャコルタが生産されています。フランチャコルタは、瓶内二次発酵のシャンパーニュ製法で造られます。

イタリアのシャンパーニュと言われるほどのクオリティーのフランチャコルタは、泡がきめこまかく、繊細で上品なブーケで、リッチな味わいです。

ミラノのおしゃれなレストランで、華やかな街並みを眺めながら優雅に食事を楽しむときは、フランチャコルタが最適です。

ピエモンテ州のワイン@トリノ

イタリアワインの名産地であるピエモンテ州の州都トリノ。イタリアの王家サヴォイア家が栄華を極めた17~18世紀の王宮が立ち並ぶ壮麗な街です。

トリノから南に70キロほど行くと、高級赤ワインのバローロとバルバレスコが生まれるブドウ畑が広がります。

ネッビオーロ種から造られるこのふたつのワインは、イタリアを代表する偉大なワイン。バローロは重厚で力強さがあり、バルバレスコは優美でなめらかな味わいです。

トリノは、グルメの街としても知られています。フランスと国境を接することから、フランス料理のようにバターを使った料理が多くあります。

落ち着いた雰囲気のレストランに入り、濃厚な味わいの伝統料理と味わい深いバローロやバルバレスコを堪能するトリノの夜は、ゆったりとした時間が流れます。

トスカーナ州のワイン@フィレンツェ

「花の都」フィレンツェはルネッサンスの街並みが残る美術館のような街。

トスカーナの人々は、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの三大巨匠を生み出したルネッサンスの歴史を誇るとともに、ワインにも誇りを持っています。

キャンティは、イタリアワインの中でもっとも名の知られているワインといってよいでしょう。サンジョヴェーゼ種から造られるキャンティとキャンティ・クラシコは、スミレのようなフローラルな香りとチェリーのような果実の香り、そしてきれいな酸味が特徴的です。

カジュアルなトラットリアで、炭火焼の分厚いTボーンステーキと一緒に飲むキャンティやキャンティ・クラシコは、トスカーナの名物ペアリングです。

同じくサンジョヴェーゼ種から造られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、濃密で華麗な味わいで、イタリアの銘酒のひとつです。

また、海沿いのボルゲリ地域でカベルネ・ソーヴィニョンなどの国際品種中心で造られるスーパータスカンも、歴史は浅いですが、忘れてはなりません。1970年代、そのクオリティーの高さで一気に世界のスターの座に躍り出たワインです。

シチリア島のワイン

太陽と海、明るいイメージのある地中海に浮かぶ島シチリアは、古代ギリシャ人、ローマ人、アラブ人などに支配された複雑な歴史があります。

州都のパレルモは、ノルマン、ビザンチン、イスラムの文化の影響も受け、イタリアとは思えない異国の雰囲気です。

海に囲まれているだけあり、新鮮な魚がとにかくおいしいです。魚と相性がよい白ワインのシチリアの品種には、カタラット、グリッロ、インツォリアなどがあります。

赤ワインは、熟した赤い果実のニュアンスたっぷりのネロヴァーヴォラ種が筆頭にあがります。また、酒精強化ワインのマルサラも有名です。

イタリアの街に多様性があるように、ワインも地方によりさまざまな顔があり、それがイタリアワインの魅力です。ぜひイタリアの景色を思い浮かべて、イタリアワインを飲んでみてください。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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