ペアリングワイン

万能なイタリアワインのロゼの魅力とは?

ロゼワインと一言でいっても、色も香りも味わいもさまざまです。近年世界的にロゼワインの人気が高まり、注目されていますが、イタリアでも例外ではありません。ロゼワインの生産量は右肩上がり。色のライト志向が進む中、ロゼワインは幅広い料理にペアリングできる万能選手です。

今回は、イタリアのロゼワインの魅力についてお話しします。

イタリアのロゼワイン事情

イタリアでは、ここ5年間でロゼワインの需要が10~20%増えたといわれています。海辺でのアペリティ―ヴォや、夏フェス、バーベキューで出番の多かったロゼワインは、夏のワインと思われていました。しかし、今では通年で楽しむことができる定番のワインとなりました。

生産者は、イタリアらしいロゼを作ろうと、イタリア品種のロゼワインの生産に力を入れています。特に注目されているのは、以下の5つのDOCロゼワイン。

「キアレット」も「チェラズウォーロ」も「ロザート」もイタリア語でロゼという意味です。

①バルドリーノ・キアレットDOC
ヴェネト州のヴェローナにほど近いガルダ湖の東側で作られているロゼワイン。淡い色合いで、さわやかな芳香、フレッシュな飲み口です。

②ヴァルテネージ・キアレットDOC
こちらはガルダ湖の西側でできるロゼワイン。淡い色合いで、フローラルでフルーティーなニュアンスです。

③チェラズウォーロ・ダブルッツォDOC
イタリア中部のアブルッツォ州で作られているロゼワイン。色が濃く、しっかりとしたボディです。世界で一番熟成に耐えるロゼのうちのひとつともいわれています。

④カステル・デル・モンテ・ロザートDOC
プーリア州のカステル・デル・モンテ周辺が産地のロゼワイン。中世の城のカステル・デル・モンテは、世界遺産にもなっています。色が濃く、フレッシュで塩味(えんみ)も感じられます。

⑤サリーチェ・サレンティーノ・ロザートDOC
同じくプーリア州のロゼワイン。比較的色が濃く、フルーティーでまろやかな味わいです。

ロゼワインのペアリング

ロゼワインは、サラミやチーズなどの前菜、パスタ、鶏肉料理に合わせることができ、食事の間ずっと楽しむことができます。コース料理のほかに、ピッツァにも合わせることができます。

そうはいっても、色が淡いものから濃いもの、味わいがすっきりとしたものから、ふくよかなものまでいろいろなタイプがあります。

色が淡くすっきりとした味わいのロゼには、白身魚など淡泊な素材で、調理法はオリーブオイルでさっぱりと仕上げた料理が合います。一方、色が濃くふくよかな味わいのロゼには、ソースを使った鶏肉や赤身の魚がぴったりです。

でも、ペアリングのルールにこだわるより、ロゼワインは、わいわい楽しく飲むワイン。王道のペアリングは、サーモンの料理です。サーモンとロゼワインは色も似ていることから、ペアリングできるのも容易に想像できます。

【サーモンのハーブ焼きのレシピ】

▼材料(2人分)
サーモン…2切れ(約400g)
パン…40g
ディル…1/2房
タイム…2本
ローズマリー…1本
パセリ…1/2束
レモンの皮(有機栽培のもの)…1/2個分
オリーブオイル…25g
塩…適量
粒白胡椒…小さじ1

▼作り方
① 角切りにしたパン、ディル、タイム、ローズマリー、パセリをフードプロセッサーに入れ、さらにオリーブオイルを入れ、レモンの皮、塩、粒白胡椒を入れ、撹拌する。
② サーモンの皮を取り除き、天板の上にクッキングペーパーを敷き、その上に並べる。
③ ②の上に①をのせる。
④ 190度のオーブンで約20分焼く。

おすすめのイタリアのロゼワイン

ここでおすすめのイタリアのロゼワインをご紹介します。

テヌータ・ラ・プレーザは、上記の注目のロゼ、バルドリーノ・キアレットDOCを作っている評価の高い生産者です。このロゼは、コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラというこの地方の品種で作られています。野生のイチゴやフサスグリの香りがあり、グレープフルーツのような柑橘系やタイムのようなハーブのニュアンスもあります。すっきりフレッシュで、塩味があり、そしてエレガントなロゼです。

同じく注目ロゼ、チェラズウォーロ・ダブルッツォDOCを生産するのは、ニコラ・ディ・シピオ。彼らの生み出すチェラズウォーロ・ダブルッツォは、モンテプルチアーノ種100%です。チェラズウォーロ・ダブルッツォは、赤いサクランボのような濃い色が印象的です。香りもインパクトがあり、ベリーミックスの強いニュアンスがあります。厚みのあるボリューミーな味わいです。

プーリア州のサレントミケーレ・カロ・エ・フィーリの「サレント・ロザート」は、ネグロアマーロ、マルヴァジア・ネーラとこちらも地元の品種が使われています。輝く濃いロゼ色で、フレッシュなチェリーのブーケがあります。まろやかで余韻もあるので、食中酒としておすすめです。

いろいろな品種で作ることができるロゼ。イタリア品種で作られるロゼワインは、明るい太陽を感じさせ、とてもイタリアらしい味わいです。

日常の食卓に、イタリアのロゼワインをぜひ取り入れてみてください。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
▶︎フィレンツェ・イン・タスカ 太田 由歌の記事一覧 

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