ペアリングワイン

最高級!イタリアワイン三大銘酒

イタリアは20州すべてでワインを造るワイン生産大国です。なかでも格別の存在なのが、ピエモンテ州とトスカーナ州。ピエモンテ州では、ワインの王・王のワインと呼ばれる「バローロ」、女王と称される「バルバレスコ」が、トスカーナ州ではサンジョヴェーゼ種の頂点に君臨する「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」が生み出されます。

この3つのワインは、イタリアの三大銘酒とされています。Barolo、Barbaresco、Brunello di Montalcinoの頭文字をとって、三大Bともいわれています。どれも甲乙つけがたい、世界に名を馳せる最高級のワインです。今回は、この三大銘酒をご紹介します。

三大銘酒の共通点と魅力

バローロとバルバレスコは、ネッビオーロ種100%で造られるワインです。一方、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、サンジョヴェーゼ種100%です。

この3つは、味わいの異なるワインですが、共通点があります。それは、ミクロクリマ(微気候)に非常に敏感だということです。わずかなミクロクリマの違いで、さまざまな表情をみせてくれる三大銘酒。知れば知るほど、味わえば味わうほど、その深さと豊かさを実感することができます。

これこそがこれらが最高峰であるゆえんであり、最大の魅力です。一度虜になったら、その魅力にどんどん引き込まれ、裏切られることはない、卓越したワインなのです。

ワインの王・王のワインであるバローロ

ピエモンテ州のほぼ中央に位置するバローロ地域は、2014年世界遺産に登録された「ピエモンテの葡萄畑の景観:ランゲ・ロエロ・モンフェッラート」に含まれます。ブドウ畑の景観という位置づけでイタリアで初めて世界遺産となったこの地は、どこまでもブドウ畑が続き、まさに風光明媚。偉大なワインが造られることが納得できる見事な景色です。

「バルトーロ・マスカレッロのバローロ」は、古典的なバローロの味わいを感じることができるワインです。バリックは使用せず、伝統的な手法でワイン造りをおこなっています。ワインは輝く透明感のあるガーネット色で、ラズベリーなどの赤い果実やスパイスのニュアンスがあります。ビロードのようなタンニンで、非常に優美です。

「ルチーアーノ・サンドローネのバローロ・アレステ」は、クリュ「カンヌービ・ボスキス」のバローロ。濃い色調で、熟したブルーベリーのニュアンスが感じられ、凝縮感があります。力強く、ボリューム感があり、余韻が長く、それでいてバランスがとれています。

ワインの女王バルバレスコ

王であるバローロと対比して、王女と呼ばれるバルバレスコは、ピエモンテ州の北東に位置し、バローロと同じく、世界遺産の「ピエモンテの葡萄畑の景観:ランゲ・ロエロ・モンフェッラート」にあります。バローロが荘厳で男性的な味わいをもつのに対し、バルバレスコは優しく女性的な味わいであるため、王女といわれています。

「ブルーノ・ジャコーザのバルバレスコ・サント・ステファノ・ディ・ネイヴェ」は、正統派のバルバレスコ。かの有名な「ガヤ」と並ぶ、イタリアワイン界の代表的な造り手です。リキュール漬けのチェリーのような香りに包まれ、緻密なタンニン、なめらかな舌触りはとにかくエレガント。深いフィネスのあるワインです。

「リヴェッラ・セラフィーノのバルバレスコ・モンテステファノ」は、赤いバラとチェリーを思わせる香りで、タンニンはきめ細かく、きれいな酸があります。クラシックなバルバレスコの味わいです。

バローロとバルバレスコでは、ラベルにクリュ名を記載することがワイン法で認められています。クリュの優劣を示すものではなく、地理的な表示です。「バローロ」や「バルバレスコ」の後に続く名称が、数々のワインの中からお気に入りの1本を見つける道しるべともなります。

トスカーナの頂点ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

トスカーナ州のモンタルチーノ村で造られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、1888年ビオンディ・サンティによって造られました。1967年になってようやくDOCになり、現在のような100%サンジョヴェーゼの規定でDOCGに昇格したのが1980年です。

イタリア最高峰のワインのひとつであるにもかかわらず、40年の歴史しかないワイン。いっきにトップの座に輝いたモンタルチーノは、神の思し召しを受けた土地ともいわれています。

「イル・マッロネートのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は、フラワリーなニュアンス、ラズベリーのような赤い果実、ハーブなど複雑な香りがあり、タンニンはシルキー。パワーがありながら、繊細でなめらかな味わいです。

「コルドルチャのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リセルヴァ・ポッジョ・アル・ヴェント」は、単一畑で造られるワイン。熟成期間の長いリセルヴァの階級だけあって、余韻が長く、優雅な味わいです。

ご紹介したワインは、どれも偉大なワインですから、レストランで温度やコンディションを整えてサービスしてもらうのがベストですが、家でゆっくりと堪能することもできます。

イタリアでは、秀でたワインを秋の夜長や冬に、時間をかけて味わいます。食事と一緒でも、ワイン単独でも飲むことができる素晴らしいワインは、人生を豊かにしてくれる心の糧でもあります。

イタリアの極上のワインをぜひ手にとってみてください。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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