イタリアでは、州ごとに郷土料理があるように、銘菓もあります。食後のデザートは別腹といいますが、トスカーナの郷土料理を味わった後は、ぜひトスカーナのスイーツを楽しんでみてください。

今回は、トスカーナの人気スイーツベスト3をご紹介します。

①世界的に有名になったトスカーナの銘菓カントゥッチ

カントゥッチは、カントゥッチアーモンドがごろごろ入っている硬いクッキーで、正式名称は「カントゥッチ・ディ・プラート」。

フィレンツェから30キロほどのところにある都市プラートが発祥の地で、「ビスコッティ」「カントゥッチーニ」と呼ばれることもあります。

かなり硬いのは、バターが入らないため。これをデザートワインのヴィン・サントに浸して食べるのがトスカーナ流。レストランのデザートメニューの定番です。

スーパーマーケットのクッキー売場にも様々な種類のカントゥッチが並び、その人気をうかがうことができます。食べやすいようやわらかくするために、バターを入れているメーカーが多いですが、オリジナルレシピでは、バターは入りません。

香ばしいアーモンドの風味で、あとをひくスイーツ。食後だけでなく、おやつにも最適です。

【カントゥッチ・ディ・プラートのレシピ】

▼材料（約30個分）
小麦粉…250g
砂糖…230g
粒アーモンド…150g
卵…2個
卵黄（ハケでぬる用）…適量

▼作り方
①アーモンドは、フライパンで少し煎っておく。
②台の上に、小麦粉と砂糖を混ぜて置き、真ん中にくぼみをつくり、そこに卵を落とし、フォークで少しずつ混ぜる。
③まとまってきたら、アーモンドを加えて、手でこねる。
④幅約6センチ、厚さ約1センチの長細い棒状にする（長さは鉄板の長さに合わせる）。
⑤天板にクッキングシートを敷き、④をのせ、かき混ぜた卵黄をハケでぬる。
⑥180度のオーブンで約30分焼く。
⑦まだ熱いうちに、約2センチ幅でななめに切る。

②カーニバルのスイーツ、スキアッチャータ・フィオレンティーナ

「スキアッチャータ」とは「平たい」という意味で、フィレンツェ風の平たいケーキです。カーニバルの時期のお菓子で、2月になるとお菓子屋さんのウインドーにたくさん並びます。

この時期になると家庭でも作られ、それぞれの「家庭の味」があります。シンプルですがオレンジの風味があり、さわやかです。

粉糖をふりかけるときに、フィレンツェの紋章であるユリのデコレーションをすることからも、フィレンツェの銘菓だということがわかります。

【スキアッチャータ・アッラ・フィオレンティーナのレシピ】

▼材料（25センチｘ20センチ程度1個分）
小麦粉…200g
砂糖…140g
牛乳…60g
オリーブオイル…30g
卵…2個
オレンジ（有機のもの）…1個
ベーキングパウダー…小さじ2
バニラエッセンス…適量
粉糖…適量

①オレンジの皮をグレーターで削る。オレンジを絞り、汁をとっておく。
②ボールに砂糖と卵を入れ、白っぽくなるまでハンドミキサーで混ぜる。
③オレンジの皮とバニラエッセンスを②に入れる。
④オリーブオイル、牛乳、オレンジの汁の順番で③に入れて混ぜる。
⑤小麦粉とベーキングパウダーをふるって、④に少しずつ入れて混ぜる。
⑥全体的になめらかになったら、長方形の型に流し込む。
⑦180度のオーブンで約30分焼く。
⑧型から出して冷まし、完全に冷めたら粉糖をかける。

③ルネッサンスのスイーツ、ズコット

ズコットはドーム型をしたセミフレッドで、セミ（半分）フレッド（凍った）という名の通り、半分凍ったようなスイーツです。スポンジケーキの中に、リコッタチーズと生クリームを詰め、凍らせます。

ズコットはイタリアで初めて作られたセミフレッドで、現代のアイスクリームの原型となりました。ルネッサンス期の支配者メディチ家の令嬢でフランス王家に嫁いだカテリーナ・デ・メディチに捧げられた歴史あるお菓子です。

イタリアのマンマはスポンジケーキから作りますが、市販のスポンジケーキを使うと気軽に作ることができます。

【ズコットのレシピ】

▼材料（17センチ程度1台分）
スポンジケーキ…250gくらい
リコッタチーズ…320g
生クリーム…250g
砂糖…50g
チョコレート…50g
ココアパウダー…10g
デザートワイン（甘いワイン）…100ml

▼作り方
①スポンジケーキは、1センチの厚さで細長い形に切る。
②ボールにリコッタチーズと砂糖を入れ、泡だて器で混ぜる。
③別のボールに生クリームを入れ、ハンドミキサーで泡立てる。
④②に③を入れ、混ぜる。
⑤④の1/3にふるったココアパウダーを入れ、混ぜる。
⑥残りの2/3にざく切りにしたチョコレートを入れ、混ぜる。
⑦おわん状の型（直径17センチ、高さ10センチくらい）に、スポンジケーキを敷き詰め、デザートワインをハケでぬってしみこませる。
⑧⑦に⑤を入れ、さらに⑥を入れる。
⑨スポンジケーキでふたをする。
⑩ラップをして、冷凍庫で最低3時間凍らせる。
⑪型から外して逆さまにし、ココアパウダー（分量外）をたっぷりふりかける。

どれもトスカーナの家庭で作られている、みんな大好きなスイーツです。食後に、楽しくゆっくりと家族で楽しむデザートタイム。

家庭のお菓子もマンマから子どもたちに伝えられ、家族団らんの時間も受け継がれているイタリアの家庭。そして、家族をささえるマンマ。

フィレンツェ・イン・タスカでは、マンマの作る家庭料理教室をおこなっています。料理はもちろん、デザートも作ります。

現在は、オンラインにて料理教室をおこなっています。ぜひホームページをご覧ください。