ペアリングワイン

夏におすすめ!グラッパハイボール

グラッパの夏の楽しみ方

食後にグラッパを飲むと、胃腸を刺激して消化を助けるとともに、食事の余韻に浸ってリラックスした気持ちにさせてくれます。とはいえ、私たち日本人にはあまり馴染みのないグラッパ。本場イタリアでは、どこの飲食店でも楽しむことができ、日常生活の中に溶け込んでいます。

日本でもアルコール度数の高いグラッパの美味しさを損なわず楽しむのにオススメなのが、グラッパをソーダで割った『グラッパハイボール』です。華やかでブドウ由来の甘味がほんのりと感じられつつも、さっぱりと楽しむことが出来るので、食前酒や、食中酒にもぴったりです。

今回はグラッパハイボールの作り方と、ハイボールにしても、そのままでも楽しめる高品質なグラッパを紹介します。

グラッパとは?

グラッパとは、イタリアでブドウの搾りかすを蒸留して造られた蒸留酒のことです。フランスでブドウの搾りかすを蒸留されたものは、マールと呼ばれています。

アルコール度数は30度から60度と強いので、食後酒として、飲まれたりしています。昔から庶民にも広く親しまれてきたグラッパの歴史は古く、10世紀頃から飲まれてきたと言われています。

当時ブドウを原料としたワインは非常に高価で、上流階級の人々が飲むことができる高級品で、庶民には手が出ず、ワインを醸造した後のブドウの搾りかすを蒸留して飲み始めたのが始まりです。なのでヨーロッパでは、人々の生活に広く浸透し、愛されています。

簡単グラッパハイボールの作り方

①グラスの中に氷をお好みで適量入れます。そして、マドラーで混ぜてグラスを冷やします。
※氷を入れずに、グラスを冷蔵庫で冷やして作っても美味しく楽しめます。

②グラッパをグラスの4/1まで注ぎ入れます。

③ソーダ水を4/3注ぎ入れ、軽くマドラーで混ぜれば完成です。
※炭酸が逃げないように、軽く混ぜるのがポイントです。

グラッパ・ディ・ヴィナッチャ・ディ・アマローネ・バリック ラルコ

イタリアヴェネト州にある1999年創業のワイナリー『ラルコ』は、ヴァルボリチェッラやアマローネで有名ですが、そのアマローネに使われた後のヴィナッチャ(ワインの搾り粕)で作られたグラッパが絶品です。

美しい琥珀色で、ダークチェリーのようなみずみずしい甘酸っぱさがあります。そして、樽熟成の深み複雑味とボリュームのあるグラッパです。非常に数が少ないのが玉に瑕ですが、見つけたら入手することをお薦めします。

単体でも楽しめますし、バリックのニュアンスに合わせてナッツを摘みながら飲むのもおすすめです。

▶︎グラッパ・ディ・ヴィナッチャ・ディ・アマローネ・バリック ラルコ

* 原産国:イタリア
* 産地:ヴェネト
* 品種:ロンディネッラ、コルヴィーナ、モリナーラ
* 生産者:ラルコ
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:500ml

グラッパ・ドンナ・セルヴァーティカ ロマーノ・レヴィ

天才的で伝説になったグラッパの作り手ロマーノ・レヴィ。彼は2008年に亡くなり、現在は共にグラッパ造りを行っていたファブリツィオ・ソブレロ氏が引き継いでグラッパ造りを続けています。

可愛くて素朴な手書きのラベルには、コレクターがいるほど人気があります。このラベルはロマーノ・レヴィの魅力の一つになっていて、一枚一枚手書きで描かれている理由がとても素敵です。グラッパは売るためのものではなく、プレゼントするものというロマーノ・レヴィ氏の想いが込められています。

その時々の季節のモチーフや、その時に気分によって、可愛らしいイラストが描かれているため、一枚一枚デザインが違うのです。コレクターになりたくなるほどに、素敵な気持ちを感じられるラベルです。特に人気が高いキャラクターがドンナ・セルヴァーティカというかわいい女の子のデザインです。レヴィ氏のお姉さんをモチーフにしているとも言われ、気分が向いたときにしか描かれないので、とても人気で、高値で取引されています。

ロマーノ・レヴィのグラッパは少量生産です。なぜなら、全て手作業で行っていて、驚くほど手間がかかっているからです。現在では、あまり使われていない昔ながらの直火式の蒸留器を使います。この直火式蒸留器は温度調節が非常に難しく、熟練の経験と知識を必要とします。

蒸留後のグラッパは、トネリコ、サクラ、オーク、アカシア、栗の木と様々な樽材に入れて、熟成庫で1年から20年以上もの間寝かせられます。

グラッパは使用する樽や熟成によって、色味が大きく変わるので、ロマーノ・レヴィのグラッパは色とりどり。そして風味が豊かで、旨味が濃いです。

一つ一つ違って、どれも素晴らしい味わいのグラッパはいつも私に感銘を与えてくれるもので、自信をもってお薦めします。贈り物にもおすすめです。

▶︎グラッパ・ドンナ・セルヴァーティカ ロマーノ・レヴィ

* 原産国: イタリア
* 産地: ピエモンテ
* 品種: 主にネッビオーロ
* 生産者: ロマーノ・レヴィ
* 味わい:甘口☆☆☆★辛口
* 容量:700ml

グラッパ・エルベ ロマーノ・レヴィ

ドンナ・セルヴァーティカのモデルとなったお姉さんもグラッパ造りに参加していて、ハーブが入ったグラッパはお姉さんの担当です。ただ今は病気がちなので、お姉さんが庭のハーブを使い、効能や組み合わせを考え抜いたハーブのグラッパは極少量になってしまいました。

種類によって風味や効能、軽やかさも変わり、セージとタイム、ローズマリーやアブサン、バジリコとレモン、レモンヴァーベナとスミレなど様々あります。暑い夏には、より爽やかなハーブ入りのグラッパがおすすめです。

こちらはセージとタイムが入ったグラッパです。このタイムとセージの入ったグラッパハイボールは、スパイスをたっぷり使った料理と合わせると最高ですし、ステーキや、ラム肉のローストなどハーブを使って下味を付けた料理とも相性が良いので是非お試し下さいね。

▶︎グラッパ・エルベ ロマーノ・レヴィ

* 原産国: イタリア
* 産地: ピエモンテ
* 品種: 主にネッビオーロ
* 生産者: ロマーノ・レヴィ
* 味わい:甘口☆☆☆★辛口
* 容量:700ml

グラッパ・ストラヴェッキア ディスティレリア グアルコ

1870年から創業しているグアルコ蒸留所は、1934年に従兄弟同士のデュイリオとバルトロメオが新たな醸留所を設立すると、瞬く間に人気に火が付き、瞬く間にイタリアを代表する蒸留所になりました。品質の高さとカリスマ性から、『グラッパの魔術師』と呼ばれています。

グアルコでは伝統的かつ現代では珍しい、非連続式蒸留器を使っています。これはオーストリアの職人にオーダーメイドした湯煎式の蒸留器で、2回蒸留を行うことで、一番大切なフルーツの香しさを引き出します。

使用する搾りかすは品質の良いものだけを厳選して、旬の完熟した香りの一番いいときのものを使います。品質に満足がいかなければ、その年の蒸留を行わないほどの徹底ぶりです。蒸留に関しても、香りが気化するのを防ぐため徹底した温度コントロールを行なっています。

このストラヴェッキアは、樽熟成を経た上級キュヴェ で、芳醇で熟成感のある香り、深みのある味わいが特徴です。夏の夕方にしっとりと味わいたい大人な味わいです。

▶︎グラッパ・ストラヴェッキア ディスティレリア グアルコ

* 原産国: イタリア
* 産地: ピエモンテ
* 品種: ドルチェット、バルベラ、オヴァーダ
* 生産者: グアルコ蒸留所
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:700ml

グラッパ・ディ コルテーゼ ディスティレリア グアルコ

このコルテーゼは、樽熟成をしていない無色透明の色合いで、シンプルでニュートラルなコルテーゼの風味を楽しめます。カカオのような香りで旨味が濃く切れ味のある味わいで、リーズナブルなお値段ですが、驚く程美味しくて癖になります。

さっぱりした料理から、お肉のこってりした料理まで幅広く合うので、食中酒としてグラッパハイボールにとってもおすすめです。

▶︎グラッパ・ディ コルテーゼ ディスティレリア グアルコ

* 原産国: イタリア
* 産地: ピエモンテ
* 品種: コルテーゼ
* 生産者: グアルコ蒸留所
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:500ml

一度飲んだら忘れられない芳醇な香りと深みのある味わいで、スイスイ飲めてしまうので、飲み過ぎには注意が必要です。

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Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

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