ペアリングワイン

イタリアの心!パスタとワインのペアリング Part1

パスタとワインの相性

日本でも馴染み深いイタリアのパスタ料理の数々。イタリアの国民食とも言えるパスタ料理は様々な種類があり、ソースも生地も多彩です。地方ごとに名産のパスタがあり、その土地のワインと合わせて親しまれてきました。

そもそも、その土地のパスタとワインは何故相性が良いのでしょうか?それは、それぞれの土壌、気候などを合わせた土地の総合的な環境からできたワインと料理は昔から無意識の内に、様々な擦り合わせによって相性が良くなったからと考えられています。

今回は普段の食事に活かせる代表的なパスタと、そのルーツを元に相性の良いワインをご紹介します。是非その土地へ想いを馳せて、ご自宅でイタリア旅行気分をお楽しみいただけると幸いです。

ペスト・ジェノベーゼ

ペスト・ジェノベーゼはイタリアのリグーリア州にあるジェノバ発祥のパスタです。ジェノバはバジルが名産品で、バジルと松の実、にんにく、チーズなどを使って作られたペストと呼ばれるソースを絡めて作ったパスタをペスト・ジェノベーゼといいます。

このペストは、ジェノバの方言で、すり潰したものという意味です。日本では、ジェノベーゼといえばバジルのパスタとして認識されていますが、実はイタリアでは、単にジェノベーゼと言うと、ナポリ発祥の牛煮込みのパスタのことを指します。ご旅行の際には、ご注意下さい。

シンプルながらに意外と味わい深いペスト・ジェノベーゼに、相性の良いワインは、同郷のチンクエ・テッレの白ワインが鉄板の組み合わせです。

ヴェルメンティーノやボスコ、アルバローラといったブドウ品種が使われています。

▶︎チンクエ・テッレ・ビアンコ カンティーナ・チンクエ・テッレ

1982年創立の協同組合カンティーナ・チンクエ・テッレ。世界遺産で有名なこの地域は、何と言っても断崖絶壁で急勾配な斜面で、機械もロバも立ち入れないために、手作業でブドウ栽培が行われています。

特にボスコ種は、このチンクエ・テッレの砂岩で栽培されたものは、アロマティックで甘美な味わいがあり、この土地の特徴がよく表れています。

* 原産国:イタリア
* 産地:チンクエ・テッレ
* 品種:ボスコ、アルバローラ、ヴェルメンティーノ
* 生産者:カンティーナ・チンクエ・テッレ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml

イカ墨のパスタ

昔から地中海で新鮮なイカが獲れて、水の都ヴェネツィアで流行したとされている名物のイカ墨パスタ。シチリア、サルデーニャ、カラブリアなどでも、それぞれの地域の特色豊かなイカ墨パスタが存在します。

シチリア風には、ペコリーノチーズと、シチリアの野生種のフェンネルであるフィノッキエット・セルヴァティコを加えます。カラブリア風には、名産の唐辛子をたっぷり加えて作ります。

サルデーニャ風には、名産の白ワインであるヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャを加えて作ります。ヴェネト風には、ソースにヴェネトの白ワインソアーヴェを入れるので、合わせるワインもソアーヴェがおすすめです。

▶︎ヴィン・ソアーヴェ・ソアーヴェ・クラシコ イナマ

ソアーヴェを代表する造り手のスタンダードレンジです。故に、品質の良さがはっきりと感じられます。

ソアーヴェ・クラシコ最上区画フォスカリーノなどで栽培されるガルガーネガが世界的に高い評価を受けています。

トレッビアーノのブレンドも許されていますが、ブレンドすることなくガルガーネガに拘りをもったワインが造られています。

レモンピール、パイナップル、蜜リンゴ、白い花の芳しい香り、ジューシーな果実味に、豊かなボディ、深みのあるミネラル、フレッシュで伸びやかな酸がジワジワを旨味を伴い、エアリーな余韻へと繋がります。

* 原産国:イタリア
* 産地:ソアーヴェ・クラシコ
* 品種:ガルガーネガ
* 生産者:イナマ
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

アラビアータ

アラビアータはローマ発祥のパスタです。アラビアータには、「怒っている」や「熱狂的な、猛烈な」という意味があります。

唐辛子をたっぷり入れて作られたソースを食べると、怒ったように顔が赤くなることから、名付けられました。香辛料を多く使うイタリア料理の中でも、特に辛さが際立った料理です。

辛さにちなんだ名前のアラビアータですが、パスタの種類はスパゲッティよりペンネとの相性が良く、ペンネの穴の中まで辛いソースが詰まって更に美味しくなると言われています。

合わせるワインはラツィオ州を代表する白ワイン、フラスカティです。

▶︎フラスカティ ポッジョレ・ヴォルピ

イタリアを代表する造り手であり、家飲みの味方で圧倒的なコストパフォーマンスで知られるポッジョレ・ヴォルピ。

このワインは、幅広く料理に合わせることが出来ますが、ワインにほんのりと優しい甘さがあり、トマトの甘さを引き立てつつ、辛さを中和して風味を引き立てるので、アラビアータとよく合います。

青リンゴ、洋梨、白い花、リンゴの花の蜜、杏仁豆腐の香り、滑らかでまったりとした舌触り、優しい果実の甘さが感じられ、豊かなミネラル、フレッシュな酸味が全体をサッパリと引き締めています。

* 原産国:イタリア
* 産地:フラスカティ
* 品種:マルヴァジア、トレッビアーノ、ソーヴィニヨン
* 生産者:ポッジョレ・ヴォルピ
* 味わい:甘口☆☆★☆☆辛口
* 容量:750ml

ボロネーゼ

美食の街ボローニャが発祥のボロネーゼ。北部ボローニャで、富裕層がフランスのラグーという煮込み料理を元に、牛肉、野菜、ワインなどを煮込ませて作らせたのが始まりと言われています。

日本でよく見かけるミートソーススパゲティと比べ、ソースはあまり多くありません。ボロネーゼは、牛肉と赤ワインの味わいが主体的で、トマトは入りませんが、ミートソースは、トマトが入り、少し甘めの味付けです。

そんなボロネーゼには、スミレや、リコリス、チェリーの繊細な味わいが特徴のサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャの赤ワインがおすすめです。

▶︎インテッラ・サンジョヴェーゼ・スペリオーレ・ロマーニャ テヌータ・ラ・ヴィオラ

エミリア・ロマーニャの自然派生産者テヌータ・ラ・ヴィオラ。ピュアなサンジョヴェーゼの魅力を引き出すために、樽の使用を辞めて、ジョージアからアンフォラを取り寄せ、醸造した意欲作です。

チェリー、スミレの花、リコリスの甘やかな香り、シルキーな質感に、優しく豊かな果実味が味わい深く、キメの細やかなミネラルと、よく溶け込んだタンニン、フレッシュで伸びやかな酸味が余韻まで長く続きます。

* 原産国:イタリア
* 産地:エミリア・ロマーニャ
* 品種:サンジョヴェーゼ
* 生産者:テヌータ・ラ・ヴィオラ
* 味わい:甘口☆☆☆☆★辛口
* 容量:750ml

ご自宅でも作ることの出来るパスタと、お手頃価格で美味しいワインを合わせて、ワインライフをお楽しみいただけると幸いです。

《関連記事》
イタリアの心!パスタとワインのペアリング Part2
本場イタリア流カルボナーラに合うワイン
激ウマ!シンプルパスタ「カチョ・エ・ペペ」に合うイタリアワイン
種類別に解説!パスタとワインの格別ペアリング
世界最小のパスタ?!クスクスとワインのペアリング
イタリア・ローマ名物のパスタに合うワイン
イタリア名物!ジェノベーゼパスタと合うワイン

Haruka Kageyama

JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。 Haruka Kageyamaの記事一覧 

新着口コミ

もっと見る

ワインペアリングを楽しめるお店、レストランを探す

都道府県から探す