大阪名物粉もの料理とワインペアリング
粉もんとワイン
粉もんとは、粉から調理された料理のことを指します。主には小麦粉。そして、米粉、そば粉などの粉から作られたものも含まれます。なので、パスタも、蕎麦もケーキも含んだ幅広いジャンルです。
江戸時代から穀物を粉にして食べる習慣が広がり、各地で様々な料理があります。『こねもの、粉物』といった言い方が変化し、関西圏では『粉もん』と呼ばれるようになりました。
大阪名物の粉もんといえば、『お好み焼き』と『タコ焼き』が有名ですね。小腹が空いたときに、リーズナブルに楽しむことができることもあり、老若男女問わず楽しめる大阪のソウルフードとして浸透しています。
そんな粉もんに合わせるワインは、コクが豊かでスパイシーなソースの味わいから、コクのあるスパイシーな赤ワインだったり、合わせる調味料によっても、相性の良いワインは変わってきます。お家で楽しむ際には色々と工夫もできて、より楽しむことができるのでおすすめです。
今回は、粉もんと相性の良いワインを紹介します。
①タコ焼き
タコ焼きのルーツは、大正時代から駄菓子屋などで売られ、広く親しまれていた『ちょぼ焼き』で、小麦粉、こんにゃく、生姜、葱、天かすなどで作る素朴なおやつです。
東京名物のもんじゃ焼きのルーツも、ちょぼ焼きだと言われています。そして、ラヂオ焼きなど変化を重ねて、タコと卵を入れるようになったのは、昭和になってからのことで、江戸時代から親しまれていた明石焼きの影響を受けたと言われています。そして昭和23年にとんかつソースが発売され使用されるようになり、現在のタコ焼きのスタイルに発展しました。
タコ焼きと合わせるワインは、クリーミーな質感を合わせたスパークリングワイン、タコや昆布出汁の海の風味に合うもの、ほんのり甘さのある生地の味わいや、ソースのコクに寄り添うやや甘味のあるワインがおすすめです。
タコ焼きパーティーも盛り上げること間違いなし!のお役立ちワインを紹介します。
たこしゃんスパークリング・デラウェア
アメリカ系ブドウ品種であり、食用栽培が盛んなデラウェア。大阪はデラウェアの生産量全国3位の産地ですが、取引価格の低下などから後継者不足という問題を抱えています。
そんな問題を解決すべく、タカシモワイナリーは、昔からデラウェアを使ったスパークリングワイン造りに取り組んでいます。
酵母菌などを工夫して特有のフォクシー・フレーヴァーが極力抑えられていて、優しい果実味がありながら、フレッシュな酸がありスッキリした印象のスパークリングワインです。
大阪のランドマークである道頓堀のグリコ看板のデザインをした奥村昭夫氏のタコ焼きのデザインのエチケットが目を惹き、タコ焼きパーティーをする際に推薦します。
▶︎たこしゃんスパークリング・デラウェア* 原産国:日本
* 産地:大阪
* 品種:デラウェア
* 生産者:タカシモワイナリー
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
てぐみ・プチ・デラウェア
大阪のお隣京都の丹波にある丹波ワインのやや辛口のスパークリングワイン。酸化防止剤を一切使わず、濾過もしていない為、旨味たっぷりのうす濁りの生詰スパークリングです。
ミラベルやリンゴなどの黄色いフルーツや、ほんのりミントの香り、デラウェアらしい優しい甘味があり、フレッシュな酸と、オレンジの果皮のような心地よい苦味、プチプチと弾ける泡がジューシーな1本です。クリーミーな泡立ちと、程よい甘さがまさにタコ焼きに合わせるのに理想的。
▶︎てぐみ・プチ・デラウェア* 原産国:日本
* 産地:京都
* 品種:デラウェア
* 生産者:丹波ワイン
* 味わい:甘口☆☆★☆☆辛口
* 容量:500ml
テタンジェ ノクターン・セックNV
家族経営の名門シャンパーニュ・メゾンであるテタンジェのノクターンは甘めのシャンパーニュの中で最も有名なシャンパーニュです。
桃のコンポート、マスカット、白い花の芳しい香り、とろける質感、豊かな果実味に、糖分添加量20gで仄かな甘さがありますが、フレッシュな酸がキレを感じさせます。
このシャンパーニュのとろけるような舌触りが、タコ焼きの質感と良く合います。ソースは付けずに、出汁の旨味と、お塩だけで召し上がる際におすすめです。
▶︎テタンジェ ノクターン・セックNV* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ
* 品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ
* 生産者:テタンジェ
* 味わい:甘口☆☆★☆☆辛口
* 容量:750ml
②お好み焼き
昭和に現在の形になりましたが、歴史は古く、2,500年程前に中国の孔子が食べていたとされる『煎餅(せんびん)』という小麦粉を水で溶いて焼き上げた素朴なお菓子が、遣唐師によって日本に伝えられ、安土桃山時代に有名な茶道家である千利休が、お茶請け用のお菓子として作らせた『麩の焼き』というお菓子がルーツと言われています。
上には、山椒や、甘味噌などを塗って食べられていたそうです。時代とともに発展していき、大阪で親しまれていた昆布出汁と、その他材料を混ぜられるようになって、現代のお好み焼きのスタイルになりました。
お好み焼きに合わせるワインは、焼き上げた豚バラの旨味や、クリーミーで少し酸味のあるマヨネーズと、味の印象が最も強い濃厚でスパイシーなソースに合わせて、コクがあり、スパイシーで酸味のあるロゼや赤ワインがおすすめです。
パイパー・エドシック・ロゼ・ソヴァージュNV
カンヌ国際映画祭の公式メゾンに選ばれ、『ザ・ムービー・シャンパーニュ』と呼ばれて世界中の映画スターにも愛されるパイパー・エドシック。こちらのキュヴェ は、目の覚めるような鮮烈なピンク色。
ブラックチェリー、ブラッドオレンジのコンポート、リコリス、シナモンなど甘く熟したフルーツとスパイスの香りが豊かに香り、密度の濃い果実味、ジューシーな印象の酸が余韻に続きます。ロゼシャンパンの中でもジューシーな個性があり、豚バラのコク旨味を引き立て、香りが同調し、ソースとの相性も抜群です。
お好み焼きにロゼシャンパンを合わせるのは、意外に思われるかもしれませんが、とてもおすすめです。山芋をすりおろして加えるとスフレのような食感になり、よりシャンパーニュと合います。
▶︎パイパー・エドシック・ロゼ・ソヴァージュNV* 原産国:フランス
* 産地:シャンパーニュ
* 品種:ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネ
* 生産者:パイパー・エドシック
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
タヴェル・ロゼ・ダム・ルス ドメーヌ・ド・ラ・モルドレ
ドメーヌ・ド・ラ・モルドレは、自然農法にこだわった南ローヌで最も注目を集める生産者です。どのキュヴェ もとても美味しくて個人的にも気に入っているドメーヌです。
このタヴェルロゼは、低温での長時間の醸しや、プレスジュースも加えたりと、他所のタヴェルロゼとりも骨格のしっかりとした味わいが特徴です。
ワイルドストロベリー、チェリー、ペタルローズ、鉄くぎ、甘苦系のスパイス、ほんのり動物的な香り、肉厚な果実味に、力強くまろやかな酸、しっかりとしたタンニン、余韻も長く、エレガントさがありつつもしっかりとしたストラクチャーのロゼワインです。
タヴェルロゼのスパイス感と、お好み焼きのソースのスパイスの風味が合い、ロゼの中でもも骨格のあるワインで、濃厚な味わいにも寄り添うことができます。
▶︎タヴェル・ロゼ・ダム・ルス ドメーヌ・ド・ラ・モルドレ* 原産国:フランス
* 産地:タヴェル
* 品種:グルナッシュ、シラー、クレレット、サンソー
* 生産者:ドメーヌ・ド・ラ・モルドレ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
ル・カリニャン・ド・ラ・ソース ドメーヌ・フォン・シプレ
世界遺産の城塞都市カルカッソンヌを東に30km進んだところにあるドメーヌ・フォン・シプレ。
フレデリック・コサールの影響で、自然な栽培に目覚めたドメーヌが、ワイン造りの変革を行い、濃厚ながらも繊細さのあるワインに進化しました。
ドライプラムやダークチェリー、リコリス、キャラメル、カカオの複雑な香り、豊かでコクのある果実味に、しなやかな伸びのある酸と溶け込んだタンニンが纏まりのいいワインです。
粗野な印象になりがちなカリニャンをとてもエレガントに纏まりよく仕上げています。濃厚なコクが互いに寄り添い、カリニャンの豊かな酸味が口中をリフレッシュさせて、箸が進みます。
▶︎ル・カリニャン・ド・ラ・ソース ドメーヌ・フォン・シプレ* 原産国:フランス
* 産地:ラングドック
* 品種:カリニャン
* 生産者:ドメーヌ・フォン・シプレ
* 味わい:甘口☆☆☆★☆辛口
* 容量:750ml
大阪名物の粉もんとワインを合わせて、楽しいひとときをお過ごし下さい。
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JSA Sommelier
The Ritz Carlton Tokyo Azure45や、阿部誠氏が率いる「東京ぶどう酒店」、「サロン・ド・シャンパーニュ ヴィオニス」、フランスのシャンパーニュ地方ランス「Domaine les Crayéres」にて10年以上サーヴィス、ソムリエールとして働く。
現在様々な形でワインを広めるべく雑誌やウェブメディアにて執筆中。
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