サラミとハムはイタリアワインと合わせたい!
サラミとハムは、イタリアではとてもポピュラーな食品です。家庭の冷蔵庫の中に常備され、昼食にも、おやつにも、夕食にもなり、ワインの最高のおつまみでもあります。
今回は、イタリアのサラミとハム、それらにぜひ合わせたいイタリアワインをご紹介します。
ストリートフードとしてのサラミとハム
サラミとハムは、薄く切って食べるため、「スライスした」という意味の「アッフェッターティ」と総称されます。
イタリア人は、年間1人平均18キロのアッフェッターティを消費します。単純計算すると、イタリア人全員が毎日約50gのサラミやハムを食べていることになります。
消費量第1位は「プロシュート・コット(加熱ハム)」(26.4%)、第2位は「プロシュート・クルド(生ハム)」(21.8%)、第3位は「モルタデッラ(ボローニャ・ソーセージ)」(19%)です(2019年データ)。
軽く食事をしたいときにもっとも人気のあるイタリアのサンドイッチ「パニーノ」は、アッフェッターティを挟んだものが主流。切りたてのサラミやハムをパンにその場で挟んでくれるイタリア版ストリートフードです。
そして、ドリンクはコップに注がれるワイン。昼食時、人気の屋台やパニーノ屋の前は、パニーノとワインを立ち食い・立ち飲みしている人たちであふれます。
もちろん、パニーノだけではなく、アッフェッターティの盛り合わせは、レストランの前菜の定番メニューです。家庭では、パスタの後に、メイン料理として、肉料理の代わりに食べることもあります。
イタリアのサラミとハムの種類
サラミとハムには、大きく分けて、加熱してあるものと非加熱のものがあります。加熱してあるものには、プロシュート・コット、モルタデッラ、ソーセージ、燻製ハムなどがあります。
非加熱のものは、腸詰されるものとそうでないものに分かれます。腸詰されるものは、挽かれた肉を腸詰するサラミ、サルシッチャ(生ソーセージ)。腸詰されないものは、部位がそのまま使われる生ハム、パンチェッタなどです。
豚以外にも、猪や鹿、牛、ガチョウ、カモシカのサラミ・ハムも食されます。特に、牛の生ハムであるブレザオラは、カロリーが低く、ヘルシー志向の人に好まれます。
イタリアのサラミとハムとワイン
サラミとハムは、脂質、塩気、スパイス香、旨味、肉のジューシーさの要素があります。保存食のため、塩・胡椒が多く使われますが、その他に、シナモン、にんにく、唐辛子、フェンネルシード、ナツメグ、クローブ、ワインなども加えられ、それらの風味もあります。
肉なので、赤ワインをペアリングしたくなりますが、たいていスプマンテ、白ワインがよく合います。一部のサラミやハムには赤ワインも相性がよいですが、それは軽い飲み口の赤ワインです。
生ハムは、前菜としてとても人気があります。王道の「生ハムとメロン」は、夏の人気メニュー。メロンの代わりにイチジクを組み合わせることができます。生ハムは、他のサラミやハムに比べて塩気が少なく、肉の甘みを感じることができ、洗練された風味があります。
合わせるワインは、シャンパーニュ製法で作られるフランチャコルタ。生ハムの旨味が、フランチャコルタのエレガントな泡にぴったりです。生ハムは、パルマ産の「プロシュート・ディ・パルマ」が上品な甘さがあります。
モンテロッサのフランチャコルタ「プリマ キュヴェ・フランチャコルタ・ブリュット」は、メロンの香りとミネラル感があり、やわらかい口当たりです。
加熱ハムのプロシュート・コットには、辛口でフレッシュなワインで塩味(えんみ)とやわらかさもあるヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノがぴったりです。
グイチャルディーニ・ストロッツィの「リセルヴァ・ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ」は、ジャスミンのようなフラワリーなニュアンスがあります。
燻製してあるハムのスペックには、燻した香りがあるので、アロマティックなワインとペアリングしましょう。トレンティーノ・アルトアディジェ州のゲブルツトラミネールがおすすめです。
ホフスタッターの「ジョセフ・ゲヴェルツトラミネール」は、ドライフラワーの香りがあり、芳醇な味わいです。
猪のサラミは、塩気も強く、しっかりした味わいがあります。ハーブやスパイスのきいたサラミも風味豊かで人気です。フェンネルシードの入ったフィノッキーナは、ういきょうのアロマが強く感じられ、脂肪分の多いサラミです。
主張のあるこれらのサラミには、軽めの赤ワインを合わせます。イタリアワインの代表格でもあるキャンティをペアリングしましょう。ビオでワイン造りをしているフラスコレの「キャンティ・ルフィナ」 。標高500メートルと高い場所でできるキャンティのため、きれいな酸がサラミの脂質にマリアージュします。
イタリア人には欠かせないサラミとハム。いつもワインと一緒に楽しまれています。
ぜひイタリアのアッフェッターティとイタリアワインを合わせて試してみてください。
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イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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