ペアリングワイン

プリミティーヴォの代表ペアリングとは?

長靴形のイタリアのかかとにあたるプーリア州で作られるプリミティーヴォは、ここ数年、イタリアでも日本でも、そして世界でも人気です。その人気の秘訣はなんといっても、熟した果実味と濃厚さです。

今回は、新星スター、プリミティーヴォとそのペアリングをご紹介します。

欠かせないプリミティーヴォ

プーリア州といえば、とんがり屋根の住宅「トゥルッリ」のある世界遺産の街アルベロベッロがワインより知られているかもしれません。

暑さを避ける構造になっているトゥルッリに象徴されるように、プーリアの夏は長く暑く、乾燥しています。その気候がプリミティーヴォのワインに熟した果実味をもたらします。

プリミティーヴォは「プリモ(最初の)」に由来し、8月に収穫されるにもかかわらず、糖分が高く、アルコール度数も高いというものすごくパワーのあるブドウ。

DOCのプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアが有名ですが、プリミティーヴォ協会が作られたのは1998年。

プリミティーヴォのブドウの歴史は、2000年以上前に遡るにもかかわらず、ボトル詰めされて市場に出回るようになったのは比較的最近の話なのです。

それまでは、プリミティーヴォは量り売りもしくはバレル売りされるワインでした。濃厚な味わいのため、イタリア北部から中部のワインのブレンド用として使われていたのです。

北部、中部の控えめなボディと色のワインに、力強い骨格と濃い色を加えるためです。生産量が多いので、大量にバレル売りすることができるということもあります。

プーリア州は、イタリアの中でも平野の多い州で、広大なブドウ畑が広がります。家庭で消費する用のワインを自分で作っているという人も珍しくありません。

自分で作っていない人は、15リットルという単位の大きなボトルで量り売りのワインを家庭用として買います。それだけワインは日常生活に密着したもので、昼食にも夕食にも飲まれています。

プリミティーヴォと肉のペアリング

生活に密着したワインなので、ペアリングもやはりプーリアの郷土料理がイチオシです。

「インヴォルティーニ」は、肉をくるくるっと巻いた料理の総称で、プーリアではトマトソース味の牛肉のインヴォルティーニがよく食べられます。

シューシーな牛肉と、牛肉のうまみがしみ込んだトマトソースがプリミティーヴォと相性抜群。家族でテーブルを囲み、楽しく過ごす日曜日の昼食にぴったりです。

【牛肉のインヴォルティーニ 〜トマト風味〜】

▼材料(2人分)
牛肉スライス…300g
ペコリーノチーズ(ない場合はパルミジャーノ)…60g
トマトピューレ…150g
ベーコン…40g
ニンニク…2片
オリーブオイル…大さじ1 パセリ…10g
塩胡椒…適量

▼作り方
① チーズとベーコンを細切りにする。
② パセリとニンニクをみじん切りにする。
③ 牛肉に塩胡椒をし、①と②をのせ、くるくると巻き、4センチくらいの長さに切り、調理用糸でしばる。
④ 鍋にオリーブオイルを熱し、③を入れ焼く。
⑤ 焼き色が付いたら、トマトピューレを加え、塩をし、弱火で約20分煮込む。
⑥ 糸を取り除いて出来上がり。

プリミティーヴォとパスタのペアリング

プーリア州の代表パスタ「オレッキエッテ」。耳たぶの形をした愛らしいパスタは、イタリア全土で人気のパスタです。

プーリアのマンマは、指の神業でひとつひとつパスタをものすごいスピードで耳たぶ形にしていきますが、ここでは市販のオレッキエッテのメニューをご紹介します。

オレッキエッテは野菜と相性のよいパスタで、菜の花やブロッコリーと合わせるメニューも有名ですが、定番はやはりトマトソース。

プーリアの人は本当によくトマトを食べます。プリミティーヴォの果実の甘みがトマトの酸味とマッチして、幸せなペアリングになります。トマトの季節である夏にぜひ作ってみてください。

【トマトソースのオレッキエッテ】

▼材料(2人分)
オレッキエッテ…160g
トマト…500g
バジル…1束
塩…適量
ニンニク…1片
オリーブオイル…大さじ1
リコッタサラータ…適量

▼作り方
① トマトは種を取って、ザク切りにする。
② 鍋にトマトとバジルを入れ、時々混ぜながら弱火で約15分煮る。塩で味を調える。
③ ムーランまたは漉し器で②を濾す。
④ フライパンにつぶしたニンニクとオリーブオイルを熱し、ニンニクの香りが出てきたらニンニクを取り除き、③を入れて数分煮詰める。
⑤ 塩を入れたお湯で茹でたオレッキエッテを④に入れ、混ぜる。
⑤ 皿に盛り付け、チーズをかけて出来上がり。

リコッタサラータは、塩分の強い熟成タイプのリコッタチーズです。すりおろして使用する固いチーズで、南イタリアのパスタ料理によく登場します。ない場合は、パルミジャーノで代用できます。

また、オイルで炒める前のこのトマトソースは、トマトが収穫される夏に、プーリアの家庭で作られるトマトソースです。20キロくらいのトマトを使って数日かけてソースを作り、保存しておき、1年を通して食べます。

プーリアの家庭とは切っても切り離せないトマト。トマトソースのオレッキエッテとプリミティーヴォはデイリーに楽しむことができるペアリングです。

おすすめのプリミティーヴォは、フェウディ・ディ・サングレゴリオの「オンニソーレ」。ブラックベリー系のニュアンスとバニラのスパイス香があり、なめらかなプリミティーヴォです。

ぜひプーリアの郷土料理と一緒に味わってみてください。

太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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