知られざるインドワインの魅力
インドというとカレー、年中暑いというイメージで、ワインを製造しているという話を聞くと驚く人がほとんどですが、実は、日本の8.7倍の国土があるインドには、良いワインブドウを栽培するのに適した地域があるのです。
良いワインブドウを栽培するには、「場所」、「気候」、「土壌」といった条件が必要なのはワイン好きの中では常識ですが、実はインド南西部には、標高が高く日本の山間部のような寒暖の差があるワインブドウを栽培するのに最適な地域があるのです。
そのため、知られざる数々のワイナリーがそういった地域に集中しています。
そんな意外性からインドワインに興味を持っていただけたらと思います。
インドを代表するワインメーカーの1つ
今回ご紹介する「グローバーヴィンヤーズ」は、1988年に設立されたインドを代表するワイン醸造メーカーの1つで日本へも輸出されています。
グローバーヴィンヤーズ創始者であるカンワル・ グローバー氏は元々大のワイン好きで、直接フランスからワインを輸入しその味とフランス料理を堪能する程でした。
彼は、仕事柄海外へ行くことも多く1970年フランス旅行をした際にワイナリーを訪ね、自分の国でも同じ品質のワインを製造したいと思うようになり、退職後の60歳から2011年85歳の生涯を閉じるまで全ての情熱をワイン作りに捧げ、インドで初めてのワイン醸造所を建設する夢を果たしたのです。
そして彼は、「インドのブドウ栽培の父」「インドのワイン産業の勇士」と呼ばれる存在にまでなりました。
あのミシェル・ローランド氏をコンサルタントに
創始者であるカンワル・グローバー氏は、1980年から8年間に渡りフランスで醸造技術を学びました。
そしてシャンパン マム ヴィンヤードのテクニカルディレクタージョルジュ・ヴェッセル氏と出会い、まずフランスのブドウ品種の栽培に適したインドの土地を探しました。
さらにワインブドウに合いそうなマハラシュトラ州、アンドラプラデッシュ州、カルナタカ州の各地の気候、降水量、土壌などを比較し、分析の為に土壌をフランスに送りました。
そして33種のブドウ品種を植えた上で9種類のみが選択され、北部バンガロールにあるナンディヒルの麓の40エーカーの土地で栽培され、その5年後の1992年にようやく最初のワインが誕生しました。
ジョルジュ・ヴェッセル氏の引退後、グローバー氏はボルドーを旅していた時、世界的に有名なフランスのワインメーカーミシェル・ローランド氏と出会います。
その時、彼は既にアルゼンチンとチリのワイナリーで働いていたので、彼を招くことはたやすくなかったのですが、やがてグローバー氏の情熱が伝わり1995年以来、ミシェル・ローランド氏をコンサルタントとし魅力的なワインを生産し続けることができました。
現在のグローバーヴィンヤーズ
現在、グローバーヴィンヤーズはカンワル・グローバー氏の子であるカピル・グローバー氏によって管理されています。
カピル氏の娘カリシュマ・グローバー氏は、世界でも有数のカリフォルニア大学(UC)のブドウ栽培学科で学び、ワイナリーの拡大そして高品質のワインを生産する取り組みをしています。
ブドウ園は100エーカーから400エーカーに拡大し(契約農家も含む)近代的な技術を駆使してワイナリーのプロセスを大幅に改善し、その後もワインの品質を向上させています。
グローバーヴィンヤーズ本社はムンバイですが、ワイナリーはカルナタカ州のバンガロール、マハラシュトラ州のナシックにあります。
バンガロール北部に位置するグローバーヴィンヤーズ周辺には、同社と契約するブドウ園があり、2月から4月にかけてはインドにいるとは思えないほどの美しい光景を目にすることができます。
世界も絶賛するLa Réserve
2005年世界で最も有名なワイン誌「デカンター誌」は、グローバーヴィンヤーズのLa Réserve(ミシェル・ローランド氏監修)に「Best New World Red Wine」の称号を贈りました。
ワイナリーツアーも魅力
グローバーヴィンヤーズでは、ツアーを通して、ワイン造りのプロセスを直接体験する機会を提供しています。ツアーでは、ワインができるまでの過程を紹介してもらいます。
お楽しみは、地下で眠っているワイン樽に囲まれながらのテイスティング。
ひんやりとした地下の貯蔵庫で5種類のワインが用意されます。ツアーには、ランチが付きのコースもあり、インド料理とワインが楽しめます。
現在、バンガロールには数多くの日系企業が進出しており、視察などビジネスで訪れた人たちが空港へ向かう前に立ち寄ったりしています。
日本でも手に入るグローバーザンパ
Grover Zampaのワインのうちおよそ20%は海外へも輸出され、日本でも購入することができます。
「グローバーザンパ」と検索してみてください。「グローバーヴィンヤーズ(Grover Zampa Vineyards)」
http://www.groverzampa.in/リポーター
インドバンガロール在住。テレビやラジオでのリポーター経験を活かし、ジャンルに問わずインドに関する取材を続けています。ワインについては、取材を重ねていくうちにその魅力に取りつかれました。
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