ペアリングワイン

イタリアでは食後もワインペアリングを楽しむ!

みなさん、食後は何を飲んでいますか?イタリアでは、食後酒を飲む習慣があります。食後酒で一番ポピュラーなのは、イタリアの蒸留酒であるグラッパです。

今回はグラッパと、そのペアリングをご紹介します。

食後にはグラッパ

レストランに行くと、食後に「食後酒を飲みますか?」と聞かれます。カジュアルなトラットリアでは、ショットグラスに注がれたグラッパが食後酒の代表。それをクイッと飲み干します。ブドウの搾りかすから造られるグラッパは歴史的に庶民の飲み物でした。トラットリアでクイッと飲み干すタイプのグラッパは、庶民的で安価です。

ワイン・ラヴァーは、グラッパもワインのように香りや味わいを楽しみます。安価なグラッパが連続式で蒸留されるのに対し、比較的高価なグラッパは非連続式でゆっくり蒸留されます。そうすることによって、ブドウのアロマもそのままで味わい深いグラッパになるのです。

グラッパは北イタリアの伝統のお酒ですので、北イタリアのものが人気。写真は、トレンティーノ・アルトアディジェ州のグラッパ工場に行ったときのものです。突然訪問したため、試飲の際に「今日は大きいグラスの用意をしていないのです。すいません」と言われました。非連続式の釜湯煎で蒸留されるグラッパは、香りが広がるので大きなグラスで飲むのが普通です。

試飲をしているとき、ちょうどブドウの搾りかすが到着して、搬入されていました。まだ濡れている状態のブドウの搾りかすでした!

トスカーナ州では、完全に乾燥した搾りかすばかり使用するので、濡れている搾りかすにびっくり。「搾りたてで濡れている状態の方が、香りのいいグラッパができるのです」とグラッパ工場の人から教えてもらいました。

食後のペアリング=グラッパとチョコレート

グラッパはアルコール度数が約40度あるため、ペアリングが難しいと思われがちですが、香りのいいグラッパは、チョコレートとペアリングすることができます。グラッパ工場でも、試飲をするときはチョコレートが出てきます。

チョコレートは、苦味があり、味に厚みがあり、ココアバターの脂質もあります。味が強く、口の中に長い時間残るため、ペアリングがもっとも難しいとされる食べ物のひとつです。でも、グラッパとペアリングすると、強いもの同士ぴったり合うのです。

グラッパは、熟成されない透明のものと、熟成される褐色のものがあり、約90%が透明のものです。どちらのグラッパもチョコレートと合わせることができます。ブランデーなど、熟成した蒸留酒が好きな人は、熟成したグラッパを好む傾向があります。

グラッパは単一のブドウ品種で蒸留されることが多いため、ブドウ品種名がエチケットに書かれています。モスカートやシャルドネなどの白ブドウか、ピノ・ネーロなどの黒ブドウかでアロマが変わってきますので、お好みで選んでみてください。

おすすめのグラッパは、トレンティーノ・アルトアディジェ州の「セニャーナ」。1860年からの伝統あるグラッパメーカーです。現在は、スプマンテのトレントDOCの代表的な作り手「フェラーリ」の所有となっています。

写真は、フェラーリに行ったときのものです。フェラーリのトレントDOCと一緒に、セニャーナのグラッパも並んでいます。セニャーナのグラッパは、ブドウのアロマが凝縮されていて、芳醇な香りと味わい深い。まさにチョコレートと相性バツグンです。

チョコレートもぜひ味わい深いものを選びたいです。イタリアでは、トリノにチョコレートメーカーが集まっています。「ヴェンキ」は、1878年からの歴史あるトリノのチョコレートメーカーです。

イタリアのチョコレートケーキ

ここで、チョコレートを使ったレシピも知りたいという方のために、イタリアのチョコレートケーキの代表格「トルタ・カプレーゼ」をご紹介します。

「カプレーゼ」とは「カプリの」という意味で、ナポリ沖に浮かぶカプリ島が発祥のケーキです。パティシエが小麦粉を入れ忘れたことで生まれました。小麦粉が入らないので、濃厚なチョコレートの味を楽しむことができます。

【トルタ・カプレーゼ】

▼材料
ビターチョコレート…125g
バター 125g
アーモンドプードル…185g
砂糖…125g
卵…3個
ココアパウダー…10g
粉砂糖(上にかける分)…適量

▼作り方
① チョコレートとバターを湯煎で溶かす。
② 卵白を泡立てて、メレンゲにする。
③ 砂糖と卵黄を泡だて器で混ぜ、①とアーモンドプードル、ふるったココアパウダーを加えてさらに混ぜる。
④ ③に②を入れ、メレンゲをつぶさないようにゴムベラで混ぜる。
⑤ タルト型(20~22センチ)にクッキングシートを敷き、④を流し込み、180度のオーブンで約40分焼く。
⑥ 冷めたらタルト型から出し、逆さにして盛り付け、粉砂糖をかけて出来上がり。

香りのいいグラッパとチョコレートは大人の組み合わせ。双方の深みのあるペアリングを、食後にぜひ楽しんでみてください。

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太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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