ペアリングワイン

イタリア流 ワインと卵のペアリング

卵は、とても身近な食材です。パスタやお菓子にも使用され、イタリアでも非常によく使用されますが、毎日食べる食材ではありません。卵料理は少し手の込んだものが多く、ワインとのペアリングを楽しむことができます。

今回は、イタリア流の卵の食べ方と、そのペアリングをご紹介します。

トルタ・サラータとワインのペアリング

卵はコレストロール値が高いため、イタリアでは「卵を毎日食べると肝臓に悪い」といわれ、イタリア人は頻繁には卵を食べません。しかし、卵はイタリア料理にとって重要な食材です。

イタリアの卵料理の代表格は、トルタ・サラータ。「サラータ」とは、「塩味」の意味で、塩味のタルトです。野菜とチーズの入ったキッシュのようなものです。

食前酒のアペリティーボ・タイムにもポピュラーなメニューで、ワインとの相性も抜群。卵は、ゆで卵など卵単体ではあまりワインとペアリングされませんが、卵料理となると話は別。ワインのペアリングの最高の相手となります。

トルタ・サラータには、じゃがいもや、ズッキーニ、ほうれん草など、いろいろな野菜を入れることができます。定番の具は、ポロネギです。ポロネギたっぷりのトルタ・サラータには、甘味、脂質、油分、香りの要素があります。

ヘビーな料理ではありませんので、さわやかな白ワインにぴったりです。おすすめはウンブリア州のオルヴィエートで作られるオルヴィエート・クラシコとのペアリング。特に「パラツォーネ」のオルヴィエート・クラシコは、さわやかだけれどもアフターがたっぷりあるので、口の中に広がるトルタ・サラータの味わいに寄り添ってくれます。

果実味と苦味のバランスがよいオルヴィエート・クラシコとさまざまな要素を持っているトルタ・サラータのすばらしいマリアージュです。

トルタ・サラータは、家庭でもよく作られる料理です。野菜もたっぷりなので、ワンプレートのランチにもなり、作りおきしておくと便利な一品です。冷蔵庫で3日くらいは大丈夫です。

【トルタ・サラータのレシピ】

▼材料
パイ生地(市販のもの)…1枚
卵…3個
ポロネギ…1本
ニンジン…2本
エメンタールチーズ…70g
パルミジャーノチーズ…大さじ4
オリーブオイル…大さじ2
牛乳…40ml
小麦粉…小さじ1
ナツメグ…適量
塩胡椒…適量

▼作り方
① ネギは細切りにする。ニンジンはグレーターでおろす。エメンタールチーズもグレーターでおろす。
② フライパンにオリーブオイルを熱し、ネギとニンジンを炒める。
③ しんなりしてきたら塩胡椒をして、火を止める。
④ フォークで溶いた卵、エメンタール、パルミジャーノ、牛乳、小麦粉、ナツメグ、塩胡椒と③をボールに入れ、混ぜる。
⑤ パイ生地をタルト型に敷き、フォークで穴をあける。
⑥ パイ生地の上に④を入れ、180度のオーブンで約30分焼く。

スフォルマートとワインのペアリング

トルタ・サラータと並ぶイタリアの卵料理の代表メニューは、スフォルマート。イタリア版スフレで、具も柔らかさもさまざまです。トルタ・サラータより洗練された味わいで、レストランの前菜として人気があります。チーズソースをかけると、おいしさもアップし、見ためもおしゃれになります。家庭では、おもてなしのときによく登場する一品です。

ワインのペアリングは、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州のリボッラ・ジャッラがぴったりです。「ラディコン」のリボッラ・ジャッラは、フローラルでフルーティーな香りが非常にエレガントで、ミネラル感があります。まるみもあり、ボリューミーなので、チーズソースともマッチします。

スフォルマートは彩りも楽しむことができる料理で、ほうれん草やズッキーニなどの緑のものや、かぼちゃのオレンジ色のものが主流です。作りやすいかぼちゃのスフォルマートのレシピをご紹介します。

【かぼちゃのスフォルマートの作り方】

▼材料(4個分)
卵…2個
かぼちゃ(皮とわたは使わない)…250g
パルミジャーノ…50g
牛乳…大さじ1
オリーブオイル…大さじ1/2
ローズマリー…1/2本
ナツメグ…適量
塩胡椒…適量
▼チーズソース
シェーブルチーズ…40g
牛乳(または生クリーム)…30ml
塩胡椒…適量

▼作り方
① がぼちゃの皮とわたを取り除き、2センチほどの厚さに切る。
② クッキングシートに①を並べ、オリーブオイルをかけ、ローズマリーをのせ、塩胡椒をし、アルミホイルをかぶせて、200度のオーブンで約15分焼く。
③ ②と卵、パルミジャーノ、牛乳、ナツメグ、塩胡椒をミキサーに入れ、混ぜる。
④ オイル(分量外)を塗ったココットに③を入れ、湯をはった180度のオーブンで約30分蒸し焼きにする。
⑤ スフォルマートを焼いている間に、チーズソースを作る。チーズと牛乳(または生クリーム)、塩胡椒をよく混ぜる。
⑥ スフォルマートが焼き上がったら、ココットから外し、皿に盛りつける。チーズソースを少し温めて、スフォルマートの上にかけて出来上がり。

トルタ・サラータもスフォルマートも、作るのに少々時間がかかりますが、イタリアではとっても人気のある料理。

ワインとのペアリングにはもってこいのメニューです。週末、時間のあるときに、またはおもてなしにぜひ作ってみてください。

太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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