ペアリングワイン

キャンティ・クラシコは幅広いワインペアリングで奥深い!

イタリアワインを代表するキャンティ・クラシコは、ブドウ栽培面積が7200haもあるだけに、標高、地質も様々で、ワインの個性は多岐に渡ります。

キャンティ・クラシコ地方は、なだらかな丘陵地にアップダウンのあるゆるやかなカーブの道が続きます。真っ青な空とまぶしい陽の光の下に糸杉の並木が見え、美しい景色が広がります。

キャンティ・クラシコのワインは、この大自然のテロワールが顕著に表れているワインです。

キャンティ・クラシコの階級

しっかりとした酸があるキャンティ・クラシコは、華やかな香り、ミネラル感、優美さがあり、食事にそっと寄り添ってくれるワインです。

ペアリングできる料理の幅も広いのですが、目安のひとつは階級です。ベースの「アンナータ」、樽熟成期間が長めになる「リゼルヴァ」、そして最上級の「グラン・セレッツィオーネ」。

それぞれのペアリングをご紹介します。

キャンティ・クラシコ、アンナータのペアリング

スタンダードレンジのアンナータは、ベースだからと軽視しがちですが、実はこれこそがテロワールを感じることができるワインです。

階級が上がると、樽熟成などの醸造上の過程が多くなります。キャンティ・クラシコの地は、もともと卓越したテロワールがあるため、アンナータにそれがもっともよく表れます。その素直な味わいは、食事ともペアリングしやすいのです。

「カステッラーレ」のキャンティ・クラシコは、野生のイチゴやバルサミックなニュアンスが感じられ、きれいな酸があります。フードフレンドリーなこのワインには、イタリアの料理を代表するトマトを使った料理をペアリングしましょう。

トマトソースは、パスタだけでなく、肉のソースとしても活躍します。難しいことは考えずに、カジュアルに楽しむことができるペアリングです。

【鶏肉のトマトソース】

▼材料(2人分)
鶏肉(モモまたはムネ)…2枚(約300g)
ホールトマト缶(液体は使わずトマトを使う)…180g
ドライオレガノ…大さじ1
オリーブオイル…大さじ2
ニンニク…1片
白ワイン…100ml
塩、胡椒…適量

▼作り方
①肉に塩胡椒をふっておく。
②フライパンに、オリーブオイルとつぶしたニンニクを入れて、熱する。
③ニンニクの香りが出てきたら、ニンニクはフライパンから取り出し、肉を入れ、中火で両面を焼く。
④肉をフライパンから取り出す。ホールトマト、オレガノをフライパンに入れ、塩胡椒をして、約5分煮詰める。
⑤ワインを入れ、さらに約5分煮詰める。
⑥肉をフライパンに戻し、約2分ソースとなじませる。

キャンティ・クラシコ、リゼルヴァのペアリング

リゼルヴァは、スパイス香がより感じられ、ボディもしっかりしてきます。畑を限定したり、ブドウを厳選しているため、生産本数が少なく、年によっては生産しない作り手もあります。

アンナータとの区別がつきにくいのにアンナータより値段が高いので、生産者はもっとも売りにくい階級だと言います。でも、飲んでみれば、リゼルヴァの魅力が一口で分かります。

「クエルチャベッラ」のリゼルヴァは、シルキーなタンニンが洗練されていて、まろやかでエレガントな味わいです。スパイスのニュアンスがあるので、スパイスを使った料理とペアリングできます。

トスカーナ地方では、豚肉をよく食べます。スパイスにジュニパーベリーを使うと、リゼルヴァにも合う上品な豚肉料理になります。

【豚ロースのジュニパーベリー風味】

▼材料(4人分)
豚ロース塊…600g
スライスベーコン…80g
Ⓐマリネ液:白ワイン1/2カップ、玉ねぎ(みじん切り)1/2個、ローリエ1枚、ジュニパーベリー(潰す)10粒、オリーブオイル大さじ2、塩胡椒適量

▼作り方
①ボールにⒶと肉を入れ、約2時間味をなじませる。
②ボールから肉を取り出して、肉にベーコンを巻く。オリーブオイル(分量外)を塗った耐熱皿に肉を入れ、マリネ液をかけ、180度のオーブンで約45分焼く。
③肉を切り、盛り付ける。

キャンティ・クラシコ、グラン・セレッツィオーネのペアリング

グラン・セレッツィオーネは30ヶ月以上の熟成を経た最上級のキャンティ・クラシコだけに、奥深く、華麗で、品格があります。

「フェルシナ」のグラン・セレッツィオーネは、ブルーベリーの凝縮感とタバコのニュアンスがあります。力強いグラン・セレッツィオーネには、トスカーナの伝統料理の「ペポーゾ」がぴったり。

ペポーゾとは、たっぷりの胡椒を入れた牛すじ肉の煮込みで、その濃厚な味わいがワインのしっかりしたタンニンとベストマッチ。ゆっくり時間をかけて楽しみたいペアリングです。

【ペポーゾのレシピ】

▼材料(4人分)
牛すじ肉…600g
オリーブオイル…大さじ2
赤ワイン…1カップ
胡椒…大さじ1
ニンニク…2個
水…約250ml
塩…適量

▼作り方
①牛すじ肉をぶつ切りにする。
②鍋に、塩以外の材料を入れて、蓋をして弱火で約2時間煮込む。
③肉がやわらかくなったら、塩をして味をととのえる。

ひとことにキャンティ・クラシコといっても、ライトなトマトソースから、濃厚な煮込み料理まで、幅広いペアリングができます。

キャンティ・クラシコは、ワインと食事がお互いに歩み寄ってくれます。ぜひ、楽しんでみてください。

太田 由歌

イタリア在住ワインコーディネーター
2003年にフィレンツェに料理&ワイン留学。
2004年よりフィレンツェ在住。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格保持。
トスカーナのワイナリーツアーを企画・主宰し、通訳案内もしている。
1日の終わりに、手作り料理とワインをペアリングすることが何よりの楽しみ。
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