ペアリングワイン

フランスのロゼワインの産地別に見る相性のよい料理とは?

美しいピンク色のロゼワイン。その華やかなイメージから、フランスでは「恋人たちのワイン」として親しまれています。そんなロゼワインですが、実は産地ごとに特徴や味わいが少しずつ異なるのです。

そこで、この記事では、フランスのロゼワインの代表的な産地別に、それぞれの特徴やおすすめの銘柄、相性抜群の料理ついてご紹介します。ぜひ参考にしてください。

フランス・ロワール地方アンジュー地区

ロワール地方のアンジュー地区は、フランス北西部を流れる広大なロワール川の河口から80㎞ほど上流の一帯に広がる産地です。冬は穏やかで夏は暑い温暖な海洋性気候で、主にグロローなどのブドウ品種からロゼワインが造られます。

一般的にこの地区のロゼワインは、フランス語で「アンジューのロゼ」を意味する「ロゼ・ダンジュ」と呼ばれます。その特徴は、サーモンピンクの色調に、甘酸っぱいベリー系の果実やサクラなどの花の香り、ほのかに甘さを感じるフルーティーな味わい。ワインを飲み慣れない人にも比較的飲みやすい味わいと言えるでしょう。

おすすめの銘柄は「ラシュトー ロゼ・ダンジュ」 。上品な甘さとソフトな口当たりが特徴です。

ロゼ・ダンジュはさまざまなジャンルの料理と合わせやすいですが、なかでもエビチリや麻婆豆腐、チヂミ、ビビンバなど、少しスパイシーな料理とよく合います。

辛いインドカレーを食べているときにラッシーのような甘酸っぱいドリンクが欲しくなるように、「甘×辛」でバランスがとれ、双方の持ち味が一層引き立つからです。

フランス・プロヴァンス地方

フランスの地中海沿岸のマルセイユからニース一帯に広がるプロヴァンス地方。夏のヴァカンスのシーズンには多くの人で賑わいを見せる、フランスの一大リゾート地です。

そんなプロヴァンス地方は、フランス最大のロゼワインの生産地でもあり、国内で生産されるロゼワインの約4割を生産しています。太陽の光がさんさんと降り注ぐ温暖な気候である一方で、時折吹くミストラルという冷たい風が暑さをやわらげるため、ブドウ栽培にとって好条件が揃う環境です。

この地方のロゼワイン、プロヴァンス・ロゼは、主にカリニャン、ムールヴェードル、グルナッシュなどのブドウ品種から造られています。その特徴は、透明感のある淡いピンク色の色合いに、イチゴやアセロラなどの果実の香り、程よい酸味やミネラル感のある爽やかな味わいなどで、どちらかというと辛口の白ワインに近い味わいと言えるでしょう。

おすすめの銘柄は「ミラヴァル・ロゼ」 。イチゴやラズベリーを思わせる繊細な香りに、はつらつとした果実味と清々しい後味が特徴です。

プロヴァンス・ロゼに合わせるのにおすすめの料理は、シーフードやトマトなどを使った地中海料理。たとえば、ラタトゥイユやブイヤベース、白身魚の香草焼き、シーフードパスタなどとは抜群の相性です。

フランス・ローヌ地方タヴェル地区

ローヌ地方のタヴェル地区は、フランスの南東部、ローヌ川沿いに広がるローヌ地方の南部にある地区です。この地区で造られたロゼワインは、一般的にタヴェル・ロゼと呼ばれます。ブドウ品種は主にグルナッシュを使用し、シラーやムールヴェードルなどがブレンドされます。

その特徴は、オレンジがかったピンク色の色調に、芳醇な香り、豊かなコクと力強い味わい。「ロゼの女王」とも呼ばれ、先のプロヴァンス・ロゼとは対照的に、赤ワインに近い味わいと言えるでしょう。また、5年から10年という長期熟成できるものがあるのも、タヴェル・ロゼならではの特徴のひとつです。

おすすめの銘柄は「E.ギガル タヴェル・ロゼ」 。ローヌ地方を代表する名門生産者、E.ギガルが手掛けるロゼワインで、飲みごたえのある力強い味わいが特徴です。

タヴェル・ロゼに合わせるのにおすすめの料理は、ポークソテーやハンバーグ、ミートローフなどの肉料理。イメージとしては、赤ワインに合いそうな料理によく合います。

フランス・シャンパーニュ地方

フランス北東部に位置するシャンパーニュ地方は、高級スパークリングワイン、シャンパーニュの産地として知られています。シャンパーニュ地方で造られるロゼのシャンパーニュは、白のシャンパーニュに赤ワインをブレンドするという特殊な方法で造られることもあります。

ロゼのシャンパーニュは、ゴージャスなピンク色の色調に繊細な泡立ち、イチゴやラズベリーのような香り、甘酸っぱい果実のような上品な味わいが特徴的です。

特におすすめの銘柄は「ヴーヴ・クリコ ローズラベル」 。ヴーヴ・クリコは世界で初めてロゼ・シャンパーニュをリリースした生産者で、豊潤な果実味と爽やかな酸味のバランスのとれた味わいが特徴です。

ロゼのシャンパーニュに合わせるのにおすすめの料理は、生ハムやローストビーフなどの軽めの肉料理。他にも、うなぎのかば焼きなどともよく合います。

まとめ

ロゼワインの産地別に、それぞれの特徴やおすすめの銘柄、相性のよい料理についてご紹介しました。

同じロゼワインであっても、産地が異なれば特徴も相性のよい料理も少しずつ変わってくるので、ぜひこの記事を参考にしていただきながら、相性抜群のペアリングを楽しんでくださいね。

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石関 華子

埼玉県出身、高知県在住。一児の母。
㈱三越(現:㈱三越伊勢丹)日本橋本店の洋酒担当を経て、2016年、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を取得。 現在は高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。
2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。 石関 華子の記事一覧 

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