ペアリングワイン

ビオワインのリュットレゾネとは?

皆様は、リュットレゾネという言葉を聞いたことはありますか?フランス語で、lutte raisonnéeと綴られます。

直訳すると、「合理的対応」となります。ビオロジックやビオディナミとも違うぶどうを栽培する方法の一つで、ビオワインの生産者の間でも取り入れられています。

今回は、ワインにまつわるリュットレゾネについてお話ししていきたいと思います。

ビオロジック(有機農法)やビオディナミとの違い

ビオロジックやビオディナミは、農薬や化学肥料を一切使用せず作物を栽培する有機農法です。

一方、リュットレゾネは、必要な時にだけ必要最低限の農薬や化学肥料を使用するという、2004年にフランスで導入された「減農薬農法」といわれています。

減農薬農法と聞くと、「農薬を減らしただけなんだ」と思ってしまうかもしれませんが、単純にそういうことではありません。

農薬は出来るだけ使用しない方が、環境にも人にも望ましいという考えは、ビオロジックもリュットレゾネも同じです。

ただ、完全無農薬栽培は、ぶどうにとっては、病気にかかったり、害虫による被害など、多くのリスクが伴います。

一年に一度しか収穫できないぶどうですので、生産者にとって、大切なぶどうが収穫できなかったり、収穫量が減ってしまうことは非常に悩ましい問題です。

せっかく良いワインを造ろうと頑張っている生産者も、収穫ができなければワイン造りを継続させることができません。

また経済的にも影響するため、不安定な状況ではワイン生産者も減ってしまいます。

そこで、病気にかかった時だけ、必要最低限の農薬などを使用することでぶどうを健康にもどすことが、ぶどうにとっても生産者にとっても非常に合理的ではないかという考えが生まれました。

これが、リュットレゾネとなり、「合理的対応」と云われる所以です。

リュットレゾネが広まる理由

実はリュットレゾネは、フランスでは一番多く取り入れられている農法だとも云われています。

その理由は、1980年ごろからワインの消費量が増え、また高値での販売を目的としたビジネスも盛んになったことで、ワインの出荷量を増やすニーズが高まりました。

その為には、ぶどうの生産量を増やし、安定させることが必要となります。そこで農薬や化学肥料を使用した栽培方法が主流になっていきました。

しかしながら、ワイン造りが自然環境にもたらす影響などが近年問題視され始めました。

特にフランスでは、持続可能なワイン造りへの取り組みが活発になり、環境を考慮したぶどう栽培に切り替えたい生産者が多く現れました。

ただビオロジックなど農薬を一切使用しない方法でぶどうを栽培するのは簡単ではなく、急に無農薬で栽培を始めてもぶどうが病気にかかり、収穫ができないリスクが大きい為、生産者は頭を抱えてしまいました。

そこで、環境を考慮しながら、かつ必要なぶどうの収穫もできる、無理をしすぎないリュットレゾネの方法が多くの生産者に受け入れられるようになりました。

人間と同じで、病気にかかってしまいやむを得ず必要最低限の少量の薬を与えることで回復させることは、副作用の心配もなく、まさに現代社会にとっては合理的である方法であるといえるかもしれません。

コストパフォーマンスが高いおすすめリュットレゾネワイン

リュットレゾネを取り入れたワインは多くありますが、その中でも私のおすすめは、「シャトー・ペスキエ」です。

フランスのローヌ南部地区のジゴンタスという村にある生産者です。赤ワイン、白ワインの両方を生産していますが、おすすめは赤ワインです。ローヌ地方の主要品種、シラーやグルナッシュを使用した、しっかりした赤ワインです。

カシスやブラックベリーのようなアロマで、甘いタンニンとフレンチオークで熟成されている為、樽香が感じられます。2000円台のワインとは思えないコストパフォーマンスの高いワインです。

こういったコストパフォーマンスが可能になるのもリュットレゾネならではの産物かもしれませんね。

また、このワインの特徴としてグルナッシュ特有のまろやかな甘みがあり、さらにシラーのタンニンや深みのある複雑な味わいですので、赤ワインが初めての方にも、ワイン上級者にも受け入れられやすいワインかと思います。

「今日はどんな人が来るかわからない」といったパーティーに持参するのにぴったりな赤ワインかもしれません。

いかがでしたか?そもそも、ワインは自然環境により味わいが大きく左右される飲み物です。

自然環境を考えずワイン造りを継続させることは不可能ですから、こういった持続可能な方法が盛んになることは必要不可欠なことともいえそうですね。

環境を考えても持続可能でなければ、本末転倒になってしまいます。

リュットレゾネは、無理をしすぎず、できる限り努力することで持続可能を実現できる方法として、英語では「サスティナブル」と表現しています。

忘れてならないのは、ビオロジックやビオディナミ、そしてリュットレゾネは、どれも共通して、環境を真剣に考え少しでもよいワイン造りをしたい生産者の強い思いで取り組まれているということです。

時本 早緒里

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
365日違うワインを呑むをモットーに、自然派ワインを毎日嗜んでいます。
造り手さんの思いや製造工程に興味があり、人と地球に優しいワインを大切にその良さを伝えるワインセミナーを不定期で開催しています。
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