ペアリングワイン

ビオワインのビオロジック農法とは?

皆様は普段ワインを選ぶ時、そのワインのぶどうがどうやって作られたか意識されることはありますか?

ワインは、他の日本酒などのアルコールと違い水を加えたりすることなく、ぶどうだけで発酵を行います。

つまり、ぶどうだけで作られるので、ぶどうがワインの質や味を大きく左右することになります。

今日はワインにとって非常に重要な「ぶどう」がどのようにつくられるか、その方法の1つである「ビオロジック農法」についてお話をしたいと思います。

ビオロジック農法とは?

ビオロジックとは、フランス語で、biologiqueと綴られ、「有機農法」のことを意味します。

定義については、認証団体によって細かな違いはありますが、主に以下の項目が指定されています。

・農薬(除草剤や殺菌剤、殺虫剤、防カビ剤)や化学肥料を使用しない。
・有機肥料を使用する場合は、認証されたもののみ使用可。
・遺伝子組換えや放射線処理禁止。

有機肥料とは、生物(動物、人、植物や微生物)由来の資源を原料とする肥料を指します。

対して、鉱物から精製された、あるいは工業的に合成された肥料を無機肥料と呼ばれます。

有機肥料は無機肥料に比べコストが高いという面もあります。また、農薬を使わずに害虫から作物を守ることも、非常に手間がかかりリスクも高いです。

さらに、上記3項目を植え付け前や収穫前に数年間実施した経過期間が必要となるため、今日から始めようと思ってもすぐには有機農法と呼ぶことができません。

では、なぜこのような生産者にとってはデメリットといえるようなビオロジック農法をわざわざ取り入れるのでしょうか?

ビオワインにおけるビオロジック農法

ビオワイン生産者の多くが、このビオロジック農法を取り入れています。農薬を使わず、安価な肥料をあえて使わずリスクを負ってなぜビオロジック農法でぶどうを生産するのでしょうか?

それは、人体にとっての安全性という点はもちろんのこと、ワインにとっても良い影響があると考えられているからです。

農薬や化学肥料を使わないことで、その土地の土壌などありのままの特性がぶどうに表われやすくなると言われています。ワインにとってテロワール(土地の特性)は非常に重要で、ワインそのものの個性に影響します。

ビオワインが個性的であるという一面はこういった特性の出やすい環境で作られたぶどうを使用をしているからということも考えられますね。

また、本来効率よくぶどうを大量生産するために使用され始めた農薬ですが、農薬を使用すると地中の微生物が少なくなり、土が硬くなることで作物の生命力は弱くなってしまうというデメリットがあります。

弱くなってしまったぶどうの樹木はより病気にかかりやすくなってしまい生産性が落ちていきます。

逆に、農薬を使わず土壌を自然本来の形にもどすことで、ぶどう本来の生命力を高める可能性があるということになります。

生産者にとっては、長期的に見れば強いぶどうを作ることができ、かつ土壌も健全になることは非常に重要なことでビオロジックを選択する価値があると考えられますね。

ビオロジック認証について

ビオロジックについては、なんとなくご理解いただけましたか?

では、ビオロジックのワインを購入したい際に、どのように見分ければ良いのでしょうか?世界には、有機農法を表す認証マークがいくつか存在します。

ワインによく見かける認証マークは、「ユーロリーフ」といわれる、EUの有機農業規則に沿って生産された農産物であることを証明するマークです。

その他、フランス農務省認定の「AB」マークや、イタリアを代表するオーガニック認証機関「ICEA イチェア」、日本の「有機JAS認証」、アメリカの「USDA」そしてヨーロッパを中心に世界50ヵ国以上の国で認証を行う「ECOCERT」などがあります。

基準も認証機関によって異なります。認証機関によっては営利目的であることも少なくなく、認証マークを獲得するには費用がかかることがほとんどです。

その為、小規模な生産者には負担が大きく、また認証マークに費用をかけてワインの価格を上げたくないという生産者もいるため、有機農法であっても、認証マークがないワインもたくさんあります。

残念ながら、認証マークだけを頼りに判断はできないというのが現状です。そんな時は、インポーターさんのホームページで調べてみたり、販売店のPOPなどをよく読んでみてください。

特にビオワインを専門にするインポーターさんや販売店は、どういう農法で作られているか記載されていることがほとんどです。

もちろんビオロジック農法以外の栽培方法もありますので、自分にあったものを探してみてください。

いかがでしたか?ビオロジック農法は、人にとってもワインにとっても、メリットがあるだけではなく、土壌を自然に戻すことでサスティナブルな地球にも優しい農法と言えそうですね。

今飲んでいるワインが、どのように作られたのか、生産者の思いや苦労などを考えると、感謝の気持ちでさらにワインが美味しく感じられるかもしれませんね。

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時本 早緒里

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
365日違うワインを呑むをモットーに、自然派ワインを毎日嗜んでいます。
造り手さんの思いや製造工程に興味があり、人と地球に優しいワインを大切にその良さを伝えるワインセミナーを不定期で開催しています。
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