ペアリングワイン

話題の日本ワインと家庭の洋食のワインペアリング

このところ品質がつとに良くなったといわれ、人気になっている日本ワイン。その歴史は明治時代に始まりますが、ここ20年くらいで見違えるほど品質が高くなり、ワイン好きの人たちの食卓にも登るようになってきました。価格的にも2,000円程度で買えるものが多く、週末の食卓にもぴったりの価格帯です。

さて、日本ワインと料理の相性というと、取り上げられることが多いのはやはり和食。繊細な懐石料理やお寿司などとの相性について、書いている記事が多いと思いますが、家庭ではそうした料理はなかなか作れないもの。

けれども、ワインを造っている醸造家たちも、そんな料理ばかり食べているわけではなく、日常は家庭料理を楽しんでいるものです。

実際にワインの造り手を訪れて話を聞くと、そうしたところから、ワイン造りのヒントを得ていることも多いのです。そんな日本ワインと家庭料理、特に週末に楽しみたい、洋食との相性を今回は探っていきましょう。

日本ワインの品種ごとに合わせる洋食・白ワイン編

日本ワインに使われているぶどう品種はなにかご存知でしょうか。代表的な品種だけでも覚えておくと、料理と合わせやすくなるので覚えておきましょう。

まず、白ワインの品種は、日本独自の品種でもある甲州と、シャルドネが多く造られています。特に甲州は日本を代表する品種といわれ、ワイン産地のメッカでもある山梨県を中心に、さまざまな地域で造られています。

■甲州と合わせるなら……

甲州は、すっきりと爽やかな味わいで、レモンなどの柑橘類や、白桃、グレープフルーツのような香りがしますが、あまり香りは強くなく、色も透明感があり淡い色調なのが特徴です。

甘口から辛口、ステンレスタンクで発酵させるシンプルなものから、樽発酵や樽熟成など、さまざまなタイプが造られています。

味わいはニュートラルですっきりとした酸味とふっくらとした残糖感があるものが多いので、白身魚のカルパッチョなどがよく合います。

サラダ仕立てでたっぷりの野菜とともにいただくのがいいと思います。樽発酵や樽熟成なら、バターを使った香ばしいムニエルを。甲州のやさしい味わいが料理を引き立ててくれます。

■シャルドネと合わせるなら……

世界品種でもあるシャルドネは、全国各地で造られている品種です。もともとは日本ワインの、世界での立ち位置を探るために植えられるようになった品種でもあります。

日本のシャルドネは、他の国のものに比べると繊細でたおやか。ボリューム感が強すぎたり、樽が強すぎるということもなく、中庸でバランスの取れた、ふっくらとした味わいを楽しむことができます。

そんな日本のシャルドネに合わせるのなら、野菜とチキンを使ったグラタンを。あつあつのクリームソースとチーズの香りに、ゴロンと切ったチキンや野菜を入れれば食べごたえもあります。

とろりとしたソースと、ふっくらとしたボディのシャルドネの相性は抜群です。具材にカニや海老をつかっても良いかもしれません。

日本ワインの品種ごとに合わせる洋食・赤ワイン編

日本ワインで赤ワイン用として知られている品種は、日本で交配されたマスカット・ベーリーAと、海外でもたくさん作られているメルローになります。

どちらも日本のさまざまな地域で造られています。

■マスカット・ベーリーAに合わせるなら……

マスカット・ベーリーAは、わたあめやバブルガムのような甘い香りが特徴の品種で、フルーティなミディアムボディのワインが生まれます。

樽熟成をしたものも多いですが、タンニンが軽くやわらかなので、赤ワインの入門編としても適している品種といえます。

そんなマスカット・ベーリーAと合わせるのなら、デミグラスソースのハンバーグなどがしっくりときます。

少し赤ワインの効いた、ほんのりと甘みの感じられるソースがからむ、ジューシーなハンバーグに、キャンディのような甘みのある香りとフルーティな味わいがぴったりです。

家庭的なごちそうとともに、週末の食卓を飾るのにふさわしいワインです。

■メルローに合わせるなら……

メルローは、シャルドネと同様に世界各地で造られている品種のひとつです。ブラックチェリーやプルーンのような香りが豊かで、しなやかなタンニンと、まろやかで繊細な味わいをもつワインが出来上がります。

そんな日本のメルローに合わせたいのは、牛肉の赤身のステーキ。塩こしょうで味付けしたシンプルなものがよく合います。香ばしい焼き目の香りと、ジューシーな肉汁のあふれるステーキの脂分が、まろやかになります。

ちなみに、霜降りの上質なステーキの場合、意外なことに甲州のほうがよく合ったりします。たっぷりのわさびを添えて、醤油をつけて食べるステーキと甲州の相性は抜群です。

他にもいろいろ合わせたい日本ワイン

価格も2,000円前後までと手軽で、親しみやすい味わいのものが多い日本ワイン。最近は品質の高いものがスーパーマーケットなどでも手軽に手に入るようになりました。

海外のものにも負けないやさしい味わいを、家庭料理とともに楽しんでみるのはいかがでしょうか。そして、近くの産地に足を運ぶのも、また楽しいものです。きっと今よりさらにワインが身近になりますよ。

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井出 玲子

フードコーディネーター/日本ソムリエ協会認定ソムリエ
どんな料理とどんなワインを合わせるか、日々の食卓にワインが与える潤いと、食の楽しさを広めるべく活動中。 井出 玲子の記事一覧 

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