タイタニック号の一等船室でも供されたゴルゴンゾーラ・チーズ

ゴルゴンゾーラ・チーズは世界でもっとも知られたイタリアのチーズ

イタリアのチーズ代表として、世界中の国のスーパーでも販売されているゴルゴンゾーラ・チーズ。

同じくイタリアを代表するパルミッジャーノ・レッジャーノ・チーズが品の良さで万人向けなのに対し、ゴルゴンゾーラ・チーズはそのクセの強さで人気があります。

フランスのロックフォール、イギリスのスティルトンと並んで、「世界の三大ブルーチーズ」とも呼ばれてきました。

20世紀、ゴルゴンゾーラ・チーズはイギリスで大ブームとなった時期があります。

イタリアからイギリスへ輸出されたゴルゴンゾーラはなんと、タイタニック号の一等船室の客にも供されていたのです。

オークションにかけられたタイタニック号のメニュー

2012年の秋、ロンドンで行われたオークションにタイタニック号で使用されていたメニューが登場しました。

船とともに海底に沈むことを免れたこのメニュー、落札額はなんと12万2千ドル!(約1300万円)。

そのメニューから、一等船室で客たちが食べていたチーズが判明しました。

1912年4月10日に、イギリスのサウサンプトンからニューヨークに向かって最初にして最後の旅に出たタイタニック号には、イギリスのチェシャー、スティルトン、チェダー、オランダのエダム、フランスのカマンベール、ロックフォールとともに、ゴルゴンゾーラが藁にくるまれて乗せられていたそうです。

イタリアのグルメジャーナリストによると、タイタニック号にはそのほかにもパルミジャーノ・チーズ、オリーブオイルなどのメイド・イン・イタリーの食材が積まれていたのだとか。

タイタニック号には製氷機があり、こうしたチーズも保存が利きおいしく食べることができたのでしょう。4月14日11時40分に氷山に激突するまでは。

ゴルゴンゾーラ・チーズはイタリアでは貧しい人たちの味方

ゴルゴンゾーラは、15世紀にミラノ近郊で生まれたチーズといわれています。

その後、主な生産地はピエモンテのノヴァーラに移動しました。

タイタニック号の時代には、毎週のようにゴルゴンゾーラ・チーズを満載した列車がノヴァーラからイギリスに向かって走っていたのです。

しかし、貧しいノヴァーラの人々にとっては、ゴルゴンゾーラは畑や工場での長い労働のあとに固いパンと食べる日常食でした。

塩味の強さは、まさに労働者の味方であったのでしょう。

また、ノヴァーラの方言ではゴルゴンゾーラは「ケルトのチーズ」と呼ばれていて、その製法はフランスや英国から伝えられたという説もあります。

・カール大帝も愛したブルーチーズ
それではまったく庶民向けのチーズであったかといえば、タイタニック号でも一等船室で食されていたように、実は中世の王様も大好きであったことがわかっています。その人の名は、カール大帝。

フランク王国の王様であったカール大帝は、アーヘンの城に常にブルーチーズを常備するよう命令したという記録が残っています。

・1966年にDOP(保護原産地呼称)認定
ゴルゴンゾーラ・チーズは、品質と特有性を認められてDOPのシールを貼ることが許されました。

現在は、ロンバルディアとピエモンテで生産されています。

そのゴルゴンゾーラ・チーズは、2種類に分かれます。

ひとつは、「ドルチェ(甘い)」と呼ばれるクリーミーなもの。

パンにそのまま塗って食べるとおいしいのがこちらの「ドルチェ」です。

もう一つは「ピッカンテ(辛い)」。味も香りも刺激が強く、固くてどっしりしています。

その刺激的な香りにもかかわらず、ゴルゴンゾーラを使ったレシピは前菜からデザートにいたるまでさまざま。

リゾット、パスタ、ステーキの付け合わせのソースなどなど。

昨今では、ゴルゴンゾーラ味のジェラートまで登場しています。

ゴルゴンゾーラ・チーズと相性の良いワインは?

ゴルゴンゾーラは、ワインと組み合わせるのが非常に難しいといわれています。

できれば、アルコール度が15度以上のものが好ましいとも言われます。

また、糖度の高いワインと相性がよいのは、あの独特の苦味がまろやかになるためです。

①ゴルゴンゾーラ・ドルチェとワイン
まず、ゴルゴンゾーラ・ドルチェには、甘口の「パッシート・ディ・パンテッレリア」と「マルサラ・ビアンコ」がおすすめ。

また、ドイツの「ゲヴュルツトラミネール」など、いずれもアロマが強くまろやかな味わいのワインが合います。

ゴルゴンゾーラ保護協同組合(Consorzio per la Tutela del Formaggio Gorgonzola DOP)でも、赤白ロゼ、いずれのワインも柔らかな風味のものと相性良しとうたっています。

白ならば、「オルヴィエート・クラッシコ」、「フラスカーティ・スーペリオーレ」、「マルヴァシア・セッカ」などなど。

赤であれば、「ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ」、「ドルチェット」、「バルベーラ」などを、16度くらいで。

②ゴルゴンゾーラ・ピッカンテとワイン
パンチの効いた辛口のゴルゴンゾーラは、逆にどっしりとした10年以上の熟成を経た赤ワインがおすすめ。

「バローロ」、「バルバレスコ」、「アマローネ」、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」、「カレーマ」、「ガッティナーラ」、「ゲンメ」。

いずれも力強い赤ワインでして、18度から20度で召し上がってみてください。

ゴルゴンゾーラ・チーズに合う食材は

ゴルゴンゾーラ・チーズは、そのまま食べてもおいしいのですが、さまざまな食材と相性が良いのも特徴。

クラシックな組合せでは、マスカルポーネとクルミとともに料理したパスタがあります。かなり胃袋にどっしりと来る一品ではありますが。

ラディッシュやセロリといった生野菜と食べて良し、茹でたジャガイモやズッキーネ、ブロッコリともおいしく食べることができます。

お酢、マスタード、卵黄、オリーブオイルとともにドレッシングを作れば、サラダにもお肉の味付けにも応用可能。

さらに、洋なしやイチジクなど果物とも相性が良く、ゴルゴンゾーラとこうした果物がピッツァのメニューに登場したりします。

こんなお料理にもゴルゴンゾーラが?という、意表を突くおいしさがあるのです。

cucciola
イタリア在住十数年、読書と美術鑑賞と食べることを生き甲斐に、イタリアの山奥で生息中。