「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」を完成させた男グアルティエーロ・マルケージ、逝く

近代イタリア料理の大使グアルティエーロ・マルケージ

2017年12月末、近代のイタリア料理に大きく貢献したシェフ、グアルティエーロ・マルケージが亡くなりました。享年87才。

年齢に不足はなかったとはいえ、近年紙面によく登場するカリスマシェフたちマッシモ・ボットゥーラやニコ・ロミートに先駆けてミシュランの星を獲得し、なによりもミラノの郷土料理「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」を完成させた男として有名であったマルケージの死は多くの著名人や文化人たちに深く悼まれました。

マルケージは1930年生まれ。レストランを営む両親を持ち、戦後にスイスやフランスでシェフとしての修行を積みました。

1977年にレストランを開業、翌年には早くもミシュランの星を獲得し、1986年にはイタリアで最も美味のレストランに選ばれています。

1991年にはイタリア勲位「コンメンダトーレ」を当時の大統領フランチェスコ・コッシーガから授与された、料理界の異才です。

弟子たちの育成にも熱心であった料理界のマエストロ

マルケージが考案したイタリア料理のレシピは家庭でも簡単にできるのが特徴で、その人徳を慕い才能ある弟子たちが集まりました。

ドイツ人の菓子職人エルンスト・クーナムやミシュランの星付シェフダヴィデ・オルダーニ、テレビでも活躍するジャーナリストであるカルロ・クラッコ、国際的な知名度を誇るルチア・パヴィンもマルケージ門下として知られています。

また、2015年に開催されたミラノ万博でも「小麦」をテーマにしたレシピやパスタについて解説し、多くのシェフたちとコラボして話題になりました。

「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」の歴史

グアルティエーロ・マルケージが完成させたといわれるミラノの郷土料理「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」。

コトレッタ・アッラ・ミラネーゼと並んで、ミラノを訪れた人ならば誰でも食べたい料理であるだけではなく、家庭でも比較的簡単にできる美味しい料理としてイタリア全土で人気を誇るのが「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」なのです。

「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」は、その誕生日がはっきりしている稀有なる料理でもあります。

生まれたのは1574年9月8日。

当時建設中であったミラノのドゥオモ内で、ステンドグラス職人として働いていたヴァレーリオという男性が、自分の娘の結婚式に同僚を招待し「米とバターとサフラン」の料理を提供したのがはじまりといわれています。当時は、料理に名前などなかったようですが。

1500年代半ばに各地の宮廷で活躍した料理人バルトロメオ・スカッピの著述では、「ロンバルディア地方の米料理」として卵と腸詰めが使用されています。

ミラノの米料理が、我々の時代のレシピに近づくのは1800年代。

頭文字しか知られていない料理人「L.O.G」という人が、フライパンでタマネギを炒め腸詰めと牛の骨髄を加えた米料理が確認されています。

この料理に「リゾット」の名前が初めてつけられたのは1829年。ミラノの料理研究家フェリーチェ・ルラスキがこう呼んだのがはじまりでした。

900年代の初めにはイタリア料理を体系化した研究家ペッレグリーノ・アルトゥージによって牛の骨髄が除去され、代わりに白ワインを加えるレシピが紹介されます。

そして、我らがグアルティエーロ・マルケージによって、1980年代前半に「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」が完成したのです。

じつに、400年以上の年月を経て完成した料理、というわけです。

また、アルトゥージやマルケージのレシピ以外にも、オリジナルに忠実に牛の骨髄を加えるヴァージョンも依然として人気があります。

マルケージによる「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」のレシピ

それでは、実際にマルケージが考案した「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」のレシピをご紹介いたしましょう。

材料(4人分)
カルナローリ米 300グラム
バター 20グラム
タマネギ 50グラム
辛口の白ワイン 200ミリリットル
コンソメスープ 1リットル
サフラン 5グラム
削ったパルミジャーノ・レジャーノ・チーズ 30グラム
塩少々

作り方
①厚手の鍋にバター10グラムを入れ、タマネギを炒めます。白ワイン100ミリリットルを加えて、ワインの量が半分になるくらいまで火を通します。フードプロセッサーで液状にし冷蔵庫に保管します。
②別の鍋に残りのバターを入れ米を炒めます。残りの白ワインを加えます。
③沸騰したコンソメスープを加えながら木べらで20分弱かき混ぜ続けます。途中、サフランも加えます。塩で味を調えます。
④①を加え、パルミジャーノ・レジャーの・チーズとお好みでバターを加えてできあがり。

リゾット・アッラ・ミラネーゼと相性の良いワインは?

材料はシンプルながら、バターやパルミジャーノをふんだんに使った「リゾット・アッラ・ミラネーゼ」は非常に濃厚な味わいの料理です。

そのため、この濃厚な味わいの邪魔にならないワインが理想的と言えます。

たとえば酸味のある白ワイン、リースリングは適度な酸味と甘味がリゾット・アッラ・ミラネーゼとほどよく絡み合います。

ミディアムボディの白ワインと楽しみたいかたには、オルトレポ・パヴェーゼがおすすめ。

または、ソーヴィニヨン・ブラン、繊細な香りのカプリアーノ・デル・コッレなどともも美味しく召し上がれます。

また、赤ワインで楽しみたければ「ボナルダ・デロルトレポ・パヴェーゼ」で。新鮮で若々しいタンニンは、濃厚なリゾットとも相性は抜群です。

辛口の赤ワインとリゾットを楽しみたい場合には、香り豊かな「バルベーラ・ダスティ」がよいかもしれません。

「ランブルスコ・サラミーノ・ディ・サンタ・クローチェ」のドライ感も、リゾット・アッラ・ミラネーゼと相性良くいただけます。

cucciola
イタリア在住十数年、読書と美術鑑賞と食べることを生き甲斐に、イタリアの山奥で生息中。