ペアリングワイン

ブルゴーニュ最大級のワイン祭典「栄光の3日間」

ブルゴーニュワインの中心地といえるボーヌ。一日で全て歩けてしまう小さな町ですが、11月3週目の週末に毎年開かれる「栄光の3日間」は、ブルゴーニュ最大級のお祭りとして訪れるスポットが目白押し!近隣のドメーヌも総力を挙げてテイスティングイベントを開催し、日曜日のチャリティーオークションをより一層盛り上げます。今年の写真も交えて、様子をお伝えします。

栄光の3日間とは?

150年以上前からさかのぼることが出来るこのお祭り。毎年11月3週目の週末に開催され、ブルゴーニュの中心地であるボーヌに世界中のワイン愛好家・ワイン商が集まります。ボーヌの街が三日間、伝統衣装やパレード、トリュフや郷土料理を販売する屋台、伝統工芸の出店(でみせ)で大賑わい。ブルゴーニュワインファンなら行ってみたい、フランスのワイン文化が垣間見えるブルゴーニュ最大級のイベントです。

この三日間のスケジュールをざっと説明しますと、土曜日にまずはシュヴァリエ・ド・タストヴァン(ブルゴーニュ利き酒騎士団)が開催する、クロ・ド・ヴゥージョ(※1)での晩餐会から幕を開けます。ここで今年のブルゴーニュ利き酒騎士が新たに任命されます。

土曜日は毎年約4千人が参加する、ボーヌ発のハーフマラソン。グラン・クリュ街道を駆け抜けるコースなのですが、マラソン初心者用に10kmもあるので、筆者も次回は参加したいです(今年は当日用事があり断念)。また、土曜の夜は近隣の村のいたるところのカーヴでのジャズバンド演奏付きのテイスティングが開催されています。

日曜日は、この三日間の一番の目玉である、ボーヌの中心にあるオスピス・ド・ボーヌ(慈善施療院)前の会場で執り行われるチャリティー・オークション!1443年に設立されたこのオスピスは、貧しい病人たちを救済するために、寄進された畑からワインを造りその収益金を治療費に充てて運営してきました。

そして3日目の月曜日には、ムルソー村にて収穫を祝うポレ(大晩餐会)が開かれ、幕を閉じます。

ちなみにボーヌ郊外では、この週末に合わせて金曜~日曜日に、フェット・デ・グラン・ヴァン・ド・ブルゴーニュという、シャブリからマコネまでの3千本のブルゴーニュワインが集まる大試飲会場があり、出品される試飲可能なワインはヴィンテージこそ若いですが、近場のミレジムを村ごとに一挙に試飲できる場として、ワイン業界人(金曜はプロのみ入場可)や、愛好家が集まっています。

(※1)16世紀に建設された、ブドウ畑に囲まれたシトー会の修道士の館。12世紀に修道士によって建設された修道院が元々の起源となっている。現在はワイン関連の博物館として公開されている。

ブルゴーニュの村々を総なめ!大試飲会フェット・デ・グラン・ヴァン・ド・ブルゴーニュ

今年で145回目を迎えるこの大試飲会。ボーヌ市街からはずれた、パレ・デ・コングレ会場にて、3000本のワイン、700の造り手、25の協同組合、9のネゴシアンが集まります。

今年のニュースと言えば、新アペラシオン「ブルゴーニュ コート・ドール」がブルゴーニュワインに仲間入りしたこと。今年からのこのアペラシオンを冠したワインを、飲ませていただきました。白のみ試飲可能だったのですが、柑橘系のアロマときれいな酸味を備えた、とても親しみやすい味わいのワインでした。

日曜日の(毎年世界のワイン商が固唾を飲んで見守る)チャリティーオークションについて

日曜の午後に開かれるこの慈善オークション。毎年、このオークションでの値段がブルゴーニュワインの値段を決めるとあって、世界中のワイン商やブルゴーニュファンが大注目するイベントです。

こちらも起源は古く、既に157回目ですが、元々はペストにあえぐ貧しい人々を救うための病院の費用を賄うために、寄進された畑から造られたワインを販売していました。現在はクリスティーズというオークションに特化をした会社が開催しています。

オークションの収益金は主に病院施設の修繕・購入に使用されますが、1978年より、特定の樽が「会長の樽」と指定され、この樽の売上金は、外部の慈善団体に寄付されています。今年は珍しく2樽(「コルトン・グラン・クリュ クロ・デュ・ロワ」)が選ばれ、利益がアルツハイマー病等の研究財団等の3つの機関に寄付されます。

また、今年は新たにベルナール・クレール氏より寄進されたピュリニー・モンラッシェの畑レ・ルショーが加わり、合計で50キュヴェになりましたが、全体的な収益金は史上最高を塗り替え、1352万9301ユーロ(約17億8766万円)に達しました。

競り落とした者はしばらくワインが熟成するのを待ち、ボトル詰めされる際にエチケットに希望の名前を付けることが出来ます。

※写真の「Acquéreur(購入者)」の部分

ちなみに、当日の午前中はこのオークションにかけられるワインの試飲があり、ボーヌの醸造学校の学生が、樽から直接ワインを試飲させてくれます。

かなり長蛇の列なので、全て試飲するだけでも3時間はかかります。

おすすめの「トライ!ブルゴーニュ伝統料理!!」

ボーヌ市内では、このお祭りの間は出店がたくさん。気温も5度前後ととても寒いため、身体を暖かくしてくれるブッフ・ブルギニヨンなどのブルゴーニュ伝統料理のスタンドが賑わっていました。

他に興味深かったのが、日本はおろかフランス国内でもあまり知られていない、「ウッフ・オン・ムレット」。赤ワインを沸騰させた中に新鮮な卵を落として半熟卵にし、ブッフ・ブルギニヨンに近い煮込みソース(牛肉や野菜、キノコ類をワインと煮込んだもの)の上にかけて食べます。著者も初めての味わいでしたが、とろーりとろける黄身が塩味のきいたソースと混ざり合い、日本人の味覚にもぴったりな美味しい地方料理でした。

●おすすめホテル

・ホテル ル・セップ
http://www.hotel-cep-beaune.com/fr/

ボーヌ中心地、オスピスから歩いて5分ほどの場所にあるホテル。内装もクラシカルで美しい調度品が迎えてくれます。冬はレセプション近くの暖炉で身体を温めることができます。 日本人従業員の方もいらっしゃるので、何かあったときに安心ですね。

当日のボーヌ市内の様子

浅野 ゆり

フランス歴8年のワイン・シャンパーニュエクスポーター
東京のフランスワイン・イベントで生産者のワインに対する思いに触れたことでワインに目覚め、産地めぐりをするためフランスへ1年半の間渡航。帰国後インポーターに勤務。その後ワインをより深く学ぶためフランスへ再渡航し、ワイン醸造学校での2年間の学生生活の後、ブルゴーニュのドメーヌで研修、2014年にフランスのワイン国家資格取得。ワイン輸出業者数社にて経験を積み、パリの一つ星レストランでのソムリエールも経験、「美味しいワインで幸せな時間づくり」をモットーに、シャンパーニュやその他ワイン産地の通訳案内もしている。趣味はワイン産地巡りと写真撮影、一歳の愛娘とのパリの公園巡り。 浅野 ゆりの記事一覧 

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